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きのう昼過ぎに近くのスーパーまでちょっとした買い物をしに出かけた。
それぐらいの時間のスーパーというのは、夕方の混雑時に比べそれほど活気もなく、さりとてがらがらというわけでもないので、びみょうな雰囲気をかもしている。店に来ている人たちも、「おばさん」というよりもう少し「向こう側」にいったような年ごろの人たちが主で、それも場の雰囲気のびみょうさに拍車をかける。そうした「おばさん」たちは、ふしぎとみんな顔見知りのようで、あちらこちらから、あら、だとか、まあ、だとか、そんな声が聞こえてくる。そして、通路の真ん中で屈託なく、益体もないおしゃべりを始めたりするのだ。そんなとき、ふと、しあわせというのはこういうものなのかもしれない、と思ったりする。
正直に言おう。おれは、そういう「おばさん」たちを日ごろ見下しがちである。たしかに、彼女たちには大した学もなければ、「高邁な理想」があるわけでもあるまい(もっとも、おれにも「高邁な理想」などというものはないのだが)。だがしかし、そんな「学」だの「高邁な理想」だの、ある人がしあわせであるかどうかなどということには、何の関係もない。もちろん、おれがしあわせでない、とは言うまい。ただ、少なくとも、そうした「おばさん」たちがこの生を屈託なく生き、日々のなかで楽しかったり腹が立ったりしているような、そういう素直なしあわせは、おれにはない。そもそも、そのような「おばさん」たちを見下すものは、そういう「しあわせ」に値しないのだ。
ある意味、「哲学は生きることをむずかしくする」と言ったハイデガーは正しかった。生きることに、賢しらな考えなど邪魔なばかりで、いいとこ「善良な人たち」を見下す役に立つだけだ。朝起きて朝食の支度をし、子ども、あるいは夫を送り出してから、しばしの時間テレビなんぞを眺めてだらだらしながら家事をこなしつつ、昼から夕方にかけては夕飯の買い物に行って夕食を作り、そういうふうに一日が過ぎていく、そのどこに文句のつけようがあり、そして、何の欠けるところがあるというのか。
だから、まずは生きることである。右も左も分からなくていいから、まずは走り出してみることである。もし、それができるなら。
このエントリが、男社会版なら、私がいつも書いている 「うちのカイシャネタ」になるのかと思います。私もカイシャの連中を完全なまでに見下しています。しかし、あのたくましさというものには学ぶべきものが確かにあります。ただ、おばさんもそうですが、カイシャの連中も「ある種の庇護」があるからこそ、変に「たくましい」のであって、それが本当のたくましさなのかは、甚だ疑問です。あの「たくましさ」にどっぷり浸ると、自分なりに思惟することを忘れる、そしてその結果としてか、同種の人間とやたら群れたがる のは 間違いないようです。
さすれば、本当のたくましさとは、一体何ぞや? という疑問にぶち当たるわけですが、それは、まあ、天から地の底に急に突き落とされても、自分なりに這い上がってくるだけの力とでもいうべきものでしょうか。その手の力については、哲学書のどこにも書いていない(ただ、前期のドゥルーズにだけは、読みようによっては書いてあるとは思います。)し、また、哲学書に浸るとこの手の力は逆に落ちると思います。哲学者を世間のおっさんおばさんが 「哲学者」といって馬鹿にするのはそれはそれで相当な正当性があり、哲学書しか読まないという手の人は、そういう批判に耳を傾ける価値は十分あるでしょう。しかし、哲学書しか読まないという手の人が、おっさんあばさんを、なんというべきか、まあ、「あなたたちは俗物だ」とでも言うべきか、こういう感覚でもって馬鹿にするのも、それはそれで、実はそれなりの正当性があることだとは一応思います。
結局、この辺りの齟齬とでもいうべきことが「生きていくこと」の困難さなのだと思います。私は、思惟を伴わない生(・・・おっさんおあばさん)も駄目だし、思考で生を蔑む(・・・哲学者)のも駄目だと思います。
結果、左程おっさんおばさんを羨ましく思うこともないし、文系の大学の中で、哲学っぽいことを言って、さも偉そうにしている人については、哀れとさえ思います。
それにしても、はやしさん、ここ最近、エントリに書く内容がかなり変わってきましたね。将来理系の研究家として大成される(・・・偉くなるという意味でなく勿論、誰も文句が言えない立派な研究成果を出される という意味です。)良い兆候だと思います。
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