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書くことがないわけではないんですが、いずれもそれなりの時間と仕込みを要するようなものなので、接ぎ穂として「いつものやつ」を。

  • 安藤馨, 統治と功利, 勁草書房
    すでに各所で話題沸騰中のもの。著者の生まれ年(1982年)だとか、修論(ちなみに、指導教官は井上の達ちゃんだそうです)ほぼそのままの出版だとか、そういう「マイナーな点」に目が行っちゃいがちですが、そんなことはまったく度外視しても、かなりすごそうな本です。タイトルのとおり、「統治」という観点から見た功利主義を扱う、もっと言えば「擁護する」本なんですが、論じ方や道具立てが非常にシャープで、たとえば義務論理を持ち出すのはまあ当然としても、それを分岐時間モデルとからめて、しかも、そのことが後論にちゃんと接続してて(これ、しごく当たり前に思えるかもしれませんが、でも、おのれの「博識」をひけらかさんがために、あまり本論とは関係のない「こけおどし」的形式化をする人って、いますからね)、思わずシャッポを脱いじゃいます。全体的にも、功利主義をめぐる議論のサーヴェイとしてかなり使えるのではないかな。ただ、惜しむらくは、本質的なことではないにせよ、著者の文体があまりおれとそりが合わず、読むのにけっこう苦労してます。ともあれ、いわゆる「必読書」ではないでしょうか。

  • 原島広至・河合良訓, 骨単, NTS
  • 原島広至・河合良訓, 肉単, NTS
  • 原島広至・河合良訓, 脳単, NTS
  • 原島広至・河合良訓, 臓単, NTS
    いわゆる「大人買い」ってやつですね。いや、でも、これはほんとすばらしいです。解剖学用語を、その語源(ギリシア語・ラテン語)までさかのぼって覚えよう!というコンセプトの本なんですが、おれは逆に、これをギリシア語・ラテン語の学習に役立てよう、と素っ頓狂なことを企てています。色々と小ネタもつめこまれ、この4冊をかたわらに、いくらでも時間が経っちゃいます。いちばんのお気に入りは、やっぱ『脳単』、かな。

  • D. Thomas and A. Hunt, Programming Ruby , Addison-Wesley
    さいきん、なぜだかRuby関係の記事を目にすることが多く、「そういえばおれ、Rubyってちゃんとやったことないな」と思っていた矢先、「基本書」が安く放出されていたのですかさず保護。序文をRuby作成者であるまつもとさんが書いているんだけど、「人生の目的とはしあわせになることである」という信念に基づき、プログラミングが簡単であるもののみならず、楽しくもあるようにRubyを設計した、と書かれていて、ちょっといい話だな、と思った。

  • Alfred Bester, Stars My Destination , Gollancz
    ほんとうは、『ゴーレム100』を買おうと思っていたんだけど、これを読む前に『虎よ、虎よ!』を復習しておきたいなと思ったので。ただ、ご存知のように、文化後進国の日本はいまだこの本を絶版にしつづけており、おれのやつもどこかに行ってしまったので(SFがらみの本は、もう当分読まないかも、と段ボールに詰めてどこかにしまってしまったのだ)、あまり期待をせずに洋書コーナに行くと、まんまとありやがったので、すかさず。後半のぶっ壊れ具合が、いかがわしくも、美しい。
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懐かしい!「虎よ、虎よ!」
確かこのタイトルってウィリアム・ブレイクの詩からとったんじゃなかったっけ?
これ読んだ頃、ラリイ・ニーブンとかJ・P・ホーガンとか読み漁ってたんだけど、ハードカバー以外の大部分の単行本は処分しちゃった。後悔先に立たずだな。
Sita 2007/06/28(Thu)18:09:00 編集
そうそう、ブレイクの詩がうやうやしく、第1部の扉に引かれてる。まあ、周知のように、ベスターはけっこう本歌取りをよくする作家で、それ以外にも色々しかけはあるわけで、そういうところでもたのしめる(もっとも、そういった本歌取り度合い的には、今度の『ゴーレム100』のほうがものすごい、らしいけど)。

で、おれも、小中学生のときに読んでいたSF関係のものは、捨ててはいないけどしまい込んじまっていて、むかしのSFマガジンとかいま読むとおもれーだろにな、と思えど、それらを掘りかえすいとまもなく、惜しいかぎりです。
はやし 2007/06/29(Fri)06:17:00 編集
小学生で、ワイドスクリーンバロックって……。幼稚園では何を読んでいたかの読書遍歴が興味深いとこだな。
Sita 2007/06/30(Sat)07:22:00 編集
ワイドスクリーンバロックにかぎらず、SF全般の持つ「荒唐無稽さ」ってのは、あんがい小学生的感性とはそりがよく、字面上の「読みがたさ」さえどうにかできれば、むしろはまれる面のほうがでかいので、それほどふしぎなことでもなかったのです。

幼稚園のときは、おもに図鑑類や学研などから出ていた「入門百科」(水木しげるとかも書いてたやつ)を読んでおり、あまり「物語的なもの」には興味がなかったですね(そもそも、SFが好きだったのだって、その物語的側面に惹かれていたというより、ガジェット的雰囲気に惹かれていた、とも言えそうです)。
はやし 2007/06/30(Sat)13:27:00 編集
『統治と功利』は、すげーおもろくはあるんだけど、「最初の一歩」としては*まったく*向いておりません。ミルの『功利主義 Utilitarianism』も、けっして読みやすくはないけど、主要な論点はここにほぼ出てきているので、これをまずは熟読する、というのがよいのではないかと(というか、日本語の文献をあまり知らない、のだ。申し訳ない。何か思いついたら追記します)。
はやし 2008/05/30(Fri)10:17:00 編集
最近になって功利主義がものすごく気になってきたので、なんとか日本語のもので、一度功利主義を概観なりしたいのですが、ここに挙げられてる「統治と功利」はその目的には適してますか?それともある程度専門的な知識前提でしょうか。一応、世界の名著のベンサムとミルのものを買おうとおもっているのですが。
長谷部 2008/05/30(Fri)12:32:00 編集
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