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ぼくが始めてアール・ブリュのことを知ったのはいつだろう?("Art Brut"は今ではたいてい「アール・ブリュット」と発音/表記され、確かに辞書を覗いてみると"brut"の発音記号は[bryt]だからそれが正しいんだろうけど、ぼくは昔から「アール・ブリュ」と言ってるので、それで通させて欲しい。ちなみに、"Art Brut"とは「生の芸術/アート」ぐらいな意味。「アウトサイダー・アート」ってのは、その英語圏での通り名)
たぶん、何の因果か中学生のときにノイズを聴き始め、ノイズ関連のガイドブックとしてはバイブル的存在だった『銀星倶楽部 ノイズ』(ペヨトル工房)を読んで知ったんだと思う。
この本にはSPKのグレアム・レベルのインタヴューが載っていて、そこでアール・ブリュのこと、SPKの曲のタイトルにもなってるアール・ブリュ作家ロバート・ギーのこと(このエントリの最初に掲げられているのが、彼の絵)、そのロバート・ギーと『アンチ・オイディプス』の関係なんかについて喋っていた。
ものすごく興味を惹かれ、もっとアール・ブリュのことを(そしてドゥルーズやガタリのことなんかも)知りたいと思ったけど、中学生が手軽にアクセスできる情報源で、アール・ブリュのことを扱っているようなものは、まだなかった。
それから時を経て、ぼくが大学生になる頃に状況は一変した。もちろんインターネットなるものが一般レヴェルにも普及し始めたからだ。
ぼくはネットを通してアール・ブリュのことを調べたり、海外にアール・ブリュ関連の本を(もちろん、ドゥルーズとかガタリの本もね)注文したりし始めた。そうすると不思議なもので、どんどん幾何級数的にアール・ブリュ関連の情報が集まってくる。だから、そのときは「アール・ブリュに関しては、日本でおれが一番詳しいんじゃないか」なんて自惚れたりもしてた。
そうこうするうちに、だんだんアール・ブリュに関する日本語情報も目にするようになってきた。たぶんそれは、ヘンリー・ダーガーが紹介されたのがきっかけなんじゃないかと思けど、世田谷美術館やメルシャン軽井沢美術館なんかでけっこう大きめな展覧会が開かれたり、ワタリウムではダーガーのレトロスペクティヴが開かれ、あまつさえ光文社から『アウトサイダー・アート』という新書まで出るようになった。
とはいえ、まだそれほど認知度があるわけでもないし、普通では紹介されないような埋もれた人たちもたくさんいるんで、ちょっとずつ紹介してこうかなあ、と思うとります。
とりあえず今回は前振り、ってことで。
参考図書・URL
『パラレル・ヴィジョン―20世紀美術とアウトサイダー・アート』(淡交社)
世田谷美術館で開かれた展覧会のパンフ。ちょっと高いけど、それだけの価値はあり。
『アウトサイダー・アート』(求龍堂)
値段もリーズナブルで、内容も充実。まずは1冊、というならこれです。
『アウトサイダー・アート』(光文社)
新書だし手軽だけど、何より図版が制限されるのがこの手の本としてはきつい。これを買うんだったら、ちょっとムリをしてでも上のやつを買ったほうがいいと思う。
Collection de l'Art Brut
アール・ブリュの総本山のようなページ。したのメニューの"Art Brut"→"Oeuvres"と辿っていくと、作品が見られます。
Outsider Art .Info
「アウトサイダー・アート」の名を冠しているページはけっこうあるけど、ここが一番まとまってるんじゃないかな。
artbrut.chの方をガガガっと見させてもらいましたけど、凄い胸に来るものがありました。中にはさっぱりこないものもありましたけど迫力というか、凄いです。
松本国三という人がいることも知りました。その横道で中帰連の存在も知りました。そこの加害の証言とかもちょっと凄いです、とかこんな書いちゃうとウヨとかサヨとか反省!とか、無かった!とかとか炎上しちゃいそうですけど、ダーガーの半生も凄い。映画化もされるそう<a href="http
求龍堂の本の方もいずれすねをかじることになりそうです。
こんな感想しかかけなくてなんだか申し分けないですけどまじでありがとうございました。
本当は作家紹介とかもちゃんとしたかったんだけど、「とりあえずは導入部として、おれとアール・ブリュの馴れ初めを……」って書き始めたら、何だか作家紹介に行き着く前に力尽きちゃって申し訳ない、という感じになっちまいました。
つわけで、次はちゃんとした内実を紹介するエントリをしたいと思うので、とりあえずこれで我慢してください!ちうことで。
で、確かに、「んー、これはちょっとなあ」ってのも当然ありまさあね。でも、クるやつのキかたっつったら、けっこうすごいもんがある、とおれは思う。何か、荒唐無稽な風景を描いている絵とかでも、ものすごいリアリティを感じちゃったり。
中帰連のページで読める加害証言とか、その数の多寡はともかく、ひどいことをしちゃったっていう事実があることは確かで、人間ってのはかなりひどいこともできちゃうもんなんだ、ってことは、右も左もなく正面から見据えるべき問題だよなあ、と思う。
ダーガーの映画、資金繰りで頓挫しなければいいんですけどねえ。ダーガーが書き溜めてた『ヴィヴィアン・ガールズ』の物語も、どういう形であれ、全部出版して欲しいし。
てなわけで、次回も楽しみにしててくだされ!
ではでは!
それはそうと、『芸術新潮』って、昔っからけっこう「おおっ」っていう特集をたまに組んだりするから、油断ならないんだよな。おれが今までで一番「おおっ」と思ったのは、確か「イタリア・ショッキング・ツアー」とかいう特集名で、ラ・スペコラの解剖博物館やら、ボマルツォの例の庭園やらを、荒俣宏と水木しげる(!)がツアーするというもので……あれはほんとよかった。
で、資生堂でやってるそれ、絶対行かなきゃな!
「特集 art brutーわれら孤独な幻視者なり!アール・ブリュットの驚くべき世界」
作品の紹介からabcd la galerieのブルノ・デシャルムと小出由紀子の対談などで結構、面白い内容だった。
で、11月27日まで銀座の資生堂のギャラリー ハウス オブ シセイドウでブルノのコレクションの内、59作家80余点の展示が開催中。本物のダーガーやラミレスを見る事が出来るヨ!
www.shiseido.co.jp/house-of-shiseido/
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31929097
作者は正規の美術教育を受けているのでアウトサイダーではないのですが、描くことへの情熱と絵の力強さがアウトサイダーアートを想起させます。
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