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答えはもちろん、一も二もなく「イエス」である。
しかし、と急いで付け足さねばならないが、「議論の役に立つ」と言われている「論理学」は、じっさいのところ(数理的なそれであれ哲学的なそれであれ)「論理学」と呼ばれているもののごくごく一部だけであると言っていいし、そうした「論理学のごく一部」だけ見てみると、それを何も「論理学」とご大層な名前で呼ばないでもいいのではないか、と思ったりもする。
具体的に言えば、1)公理系の設定(議論の前提を明確にする)、2)推論規則の設定(議論の流れは妥当であるか)、3)1、2から導き出される諸トートロジー(結論を言い換えてその妥当性をチェック)と言ったところが「役立つ」と思われるものだが、それ以外の「真に論理学的」と思われる部分、たとえば完全性の証明や帰納函数論などは、たいして議論の役に立つとも思えない(もちろん、そうしたトピック、およびそれらを証明・説明するテクニックを議論に役立てようと思えば役立てられないことはないだろうが、こうしたことが成り立つためには、議論の参加者の論理的膂力が相当要求されるであろうし、そうでない場合、ぎゃくに議論を分かりにくくするだけであろう)。
それでは、そうした「小手先」と言える部分でしか、論理学は議論の役には立たないか、というと、そういうこともなく、よく世間で言われるように、論理学を学ぶことで「厳密に考えるとはどういうことか」が(理想的には)血肉化され、日頃の議論においてもそうした「厳密に考えること」はプラスにこそなれマイナスにはならないだろうが、それとてべつに学ぶものは論理学でなくても、「数学」と呼ばれる領域に属することがらであれば何でもいい、ということになる。
だから、というわけでもないのだけど、論理学であれ何であれ、何かが役に立つだの立たないだのというケチ臭いことは忘れて、せいぜい楽しむべきだ、と思われる。
ロジックのシステムの検証、についてですが、これはその無矛盾性についての検証ということであれば、イメージされている「検証」とはすこし趣が違うかもしれませんが、もちろんさかんになされています(というか、ロジックの研究はある意味、その「検証」ということになるでしょう)。ただ、「エピステーメーの大きな波」によって、ロジックの今までの蓄積が無に帰すような事態は、もちろんその可能性はまったくありえない(つまり、生起確率が端的にゼロである)とは言い切れませんが、ほぼありえない、と思われます。というのも、まず第一に、ごく弱い傍証として、ほとんど数千年にわたってロジックの根幹部分はかわらないこと、第二に、ありうべき「エピステーメーの大きな波」にも攫われないであろう構えがロジックにできていること、第三に、そもそもエピステーメーというものの存立自体がロジックのパラメタであると考えられることが、それぞれ言えるからです。
言表内容の発言者負荷性については、日常においてはたしかにそういうこともたしかに根強くあり、プラグマティックにはそれなりに有用(そう、個人的にはこの負荷性を、ある種の「有用さ」としてとらえています)でもあるでしょうが、1+1=2のある程度の言表内容発話者非負荷性を考えると、そうした言表の保存的拡大としてとらえられるものがけっこうあるので、あまり真正面から「問題は何を言ったかではなく、誰が言ったかなのだ」という命題をとらえる必要はない、と考えます。ただ、繰り返しになりますが、言表内容の真理値がその発言者の函数になりうる事態も、一般的にはそれなりにあり、だからこそ学会誌などのレフリーは執筆者を知らされない、ということにもなっているのでしょう(これとちょうど逆の事例として、あの名高いソーカルアフェアが思いうかべられますが、これは、だから言表内容は発言者負荷なのだ、ということを証するものでなく、たんに、ソーシャルテクストの連中がバカだ、ということを証するだけでしょう)。
で、あらためて、こういうかたちで人を触発できたということ(ヒデさんが、論理学をちょっとやってみようかな、と思ったことや、語学を始めてみようかな)は、とてもうれしいことであります。もちろん、そうしたことどもに対する原初的な衝動めいたものがヒデさんのなかにそもそもなければ、ぼくであれ誰であれ、それを使嗾したところで暖簾に腕押しでしょうが、それでも、何らかのかたちでそういうアクションを人が起こすことに参与できたことで、「快楽の伝導」を旨としている(?)このブログの任がいくらか果たせた、というものです。
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