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何でだかよく知りませんが、月曜が休日らしいので、土日月、と三連休なのです。とはいえ、おれはリサーチプロジェクト(の練習)を抱えているので、実質休みなし。クラスのみんなもブーブー言ってました。

ともあれ、先日ちらっと書いたとおり、そのリサーチプロジェクトのおれのお題はCultural Globalizationなんですが、「文化のグローバル化」と聞いてまず思いうかべられるのは、「文化の汎アメリカ化」というようなことで、そうした事態の一端が「社会のマクドナルド化」なる洒落た言い回しで言われてたりするのは、つとに皆さんの知るところだと思います。

で、「文化のグローバル化」でも、「文化の汎アメリカ化」でも、「社会のマクドナルド化」でも、何でもいいんですが、そうしたことを主題的に取り上げる人はほとんどの場合そういう事態に批判的なんですね、不思議なことに。そして、そういうふうに一方の意見しかある主題に関して見いだされない、というのは、リサーチを進める上でとても困ったことなんです。リサーチというのはある意味、対立する諸意見を考量し、一定の判断を下すものですから、ある主題について片一方側の意見しか見いだされないというのはとてもやりにくい。

もちろん、こうしたことは、その意見の「正しさ」を証するもので、すでにほぼ結論は出ている、という(やや楽天的な)見方もできるわけですが(そしてその場合、「リサーチ」なんてものの出る幕はないわけです)、ことこの「文化のグローバル化」という主題については、そういうクリアーカットな結論が出るようなものだとも思えない。それが証拠に、「文化のグローバル化は、そうした文化が拡がるところに害悪をもたらす」ということで広汎なコンセンサスが得られていれば、何も繰り返しそのテーゼを述べ立てることもないわけで、実情はむしろ、「コンセンサスが得られる」どころの沙汰ではない。

では、「文化のグーロバル化、全然問題なし!」という声はなぜあまり聞かれることがないのか。それは、そんなことを声高に言い募らなくても、「文化のグローバル化」を推進する側は十分に力を持ち、そうしたグローバル化が常態と言っていいほどの水準まで事態が進んでいるから、ということだと思います。反対側の勢力など、怖くも何ともないわけです。



てなわけで、プロジェクトを始めてから間もないのに、早くも困難にぶちあたってるわけですが、ここはその困難を逆手に取って、それなりに理詰めで「文化のグローバル化でもかまわんでないの」という議論を組み立ててみようかなあ、と少しだけ夢想中。どうなることやら。

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はやしさんの、そういうとりあえず逆から見てみてもいいじゃんという発想は好きです。まぁリサーチならそうしなきゃならないのが当然なのかもしれませんが。きつそうですが頑張ってくださいね。
長谷部 2006/09/02(Sat)21:21:00 編集
だいたい、経済は良しも悪しくもアメリカ中心に回っているんだし、文化がアメリカ化するのは当たり前みたいなもんで、それの功罪を今更論じても仕方ないでしょう。アメリカでその功罪を論じても、採点するせんせいの反感をかっておしまいでしょう。真剣勝負の研究論文を書くわけではないのですから、郷にいれば郷に従って書けばいいと思います。
で、実は、酒飲んで書いています。トンチンカンなこと、書いていますか?
すだれまんげつ 2006/09/03(Sun)02:44:00 編集
「とりあえず逆から見てみてもいいじゃん」というのは、言ってみればおれの「手癖」のようなものであり、自分では「天の邪鬼で子どもじみた挙措であるなあ」と嘆息まじりに観ずるとこなのですが、同時に「天の邪鬼で子どもじみているののどこがわるい!」と思いもし、そして、そういう部分を面白がってくれる人がいることにも大いにはげまされもしましたので、今後も引き続きこの姿勢をとっていこう、と決意した次第です。
はやし 2006/09/03(Sun)18:25:00 編集
まずもって、経済的なイニシアティヴと文化的なそれとがどうしてシンクロするのか、ということが問われなければなりません。すだれさんは「当たり前みたいなもん」と仰っていますが、おれにはそれほど当たり前なこととは思われない。挑発的な言い方をすれば、すだれさんのような見方は、マルクス的な経済決定論を無邪気に繰り返しているだけのように見える。

次に、お題としてCultural Globalizationなるものが与えられている以上、まさに「アメリカの功罪」を(主題的にではないにせよ)問題にしなければならないわけで、「採点するせんせい」としては、「今更論じても仕方がない」とは思っていないわけです。さらに、「郷に入っては」の伝でいけば、おれがエントリで略述したように、Cultural Globalizationということを問題にする人は往々にしてそれについて批判的であることが少なくなく、このお題を出題した先生にしてみてもその例外ではないようにおれには思え、とすると、「アメリカの文化帝国主義反対!」という論陣を張ったほうが吉、ということになります。

とはいえ、実際にこのリサーチプロジェクトで要求されていることは「何を言うか」というコンテンツの問題ではなく、「どう言うか」というスタイルの問題がでかいので、「アメリカ文化帝国主義」に肯定的であろうと批判的であろうと、どちらでもいいのですが。
はやし 2006/09/03(Sun)18:40:00 編集
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