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以前この記事にトラックバックをくれたことのある長谷部さんが「スピノザ『エチカ』を読む」という記事群を書かれていて、非常に興味深く読んでいるのだけれど、その記事群に触発されるかたちで、おれもドゥルーズのスピノザ講義の訳をちょぼちょぼ再開することにした。早ければ、続きを今晩にでもアップする予定。

ところで、スピノザ、とくに『エチカ』というのは、それを巡る言説は面白く「なるほど」と思えることが多いのだけど、それ自体に取り組もうとすると、どこか乗り切れないところがある。その原因は、ほとんど『エチカ』を『エチカ』たらしめていると言ってもいい、あの「幾何学形式」にあるように思われ、そしてそれは、ああいう形式に馴染みがない、ということではなく、むしろ逆に、馴染みがありすぎるがゆえに「何かなあ」と思ってしまう、というのが大きい。

その「何かなあ」をパラフレーズすれば、1)公理として設定されているものが、とてもではないが公理として承認しがたい、2)証明が証明になっていない、3)「注釈」(Scholium)の位置付けがよく分からない、という感じなのだが、何度読んでも些末なところに拘泥してしまい、全体の大きい絵を捉える前に頓挫してしまう。

だから、長谷部さんの書かれた記事群や、ドゥルーズの講義録のような、『エチカ』を散文で語る試みは、非常にありがたい。

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実は僕自身も、はやしさんのスピノザ講義録を読んでからああいった記事を書いてみようと思っていたので、はやしさんが僕の記事に触発されて(変状されて?笑)記事を再開していただくというのは非常に嬉しいですね。
『エチカ』に関する気味の悪さのようなものは確かに僕も感じるところです。本当に必然的に導かれている、という感じをエチカから得られるとは思えません。むしろ『エチカ』という生き物があれよあれよという間にスピノザの言わんがことを再生させているような印象であって、それが「正しい」かと言うと違和感がどうしても残ります。それでも『エチカ』は面白いので、ドゥルーズを始めとして、単なる解説に終始しない散文は価値のあることだと自分も思います。
hy 2006/08/08(Tue)22:38:00 編集
おおなんとそうだったのですか。それはかなりいい話ですね(affectioとaffectusの振動……!)。

『エチカ』ってのは、スピノザ自身からして、はたして「これでいけてる!」と心底思って書いているのかどうか、ちょっとアヤシゲなところがあるような気がします。憶断をおそれずに言ってしまえば、あえてあのような公理形式で、かつ、厳密にはロジックが成り立っていないようなものを書くことによって、「読む」ことがプレイする余地を残したのかも、とさえ思ってしまいます。つまり、『エチカ』という「楽譜」を各々がinterpretation(読解/演奏)することによって、色々な音盤=書籍が生成される、というか。

というわけで、引き続き長谷部さんの「プレイ」を楽しみにしております。
はやし 2006/08/09(Wed)18:15:00 編集
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