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今日夕刊で彌永昌吉逝去の報を読んだとき、べつだん直截に教えを受けたわけでもないのに、思わず「あ」と声を上げてしまった。たぶんそれは、高校生のとき、岩波講座の集合と位相の巻を何度も繰り返し読んだから、それなりに「思い入れ」とでも言うべきものがあったのだろう。
この岩波講座の集合と位相の巻は、取り立てて扱い方が深いわけでもなければ、その扱う範囲も広いわけでもないのだけれど、集合や位相というものに関する前提知識がまったくなく、そして、数学的成熟度も低い高校生にもじゅうぶん読めるように、ごく丁寧に書いてある良書である。もちろん、そのオーディエンスとして、「集合」というものをあくまで「道具」として使うような人たちを想定しているから、高校生とはいえ小耳には挟んでいた「集合論プロパー」な話題、たとえば強制法だの巨大基数だのという話は全然出てこず、身の程知らずにもちょっと物足りなくも思ったのだが、最初からそういう集合論プロパーな本に向かっていたら、まず間違いなく撃沈されていたであろう。そういう意味でもこの本で研鑽を積んだことは次のステップへのいい助走になった、と思う。
他に彌永昌吉の本でそれなりにじっくりと読んだ本と言えば、弘文堂から出ていた『現代数学の基礎概念』ぐらいなのだけれど(『数学者の20世紀』も『若き日の思い出』もじつは読んでいない)、アマゾンではまったく出てこない(グーグル様でも検索結果5件というお粗末さ)。どこがどう面白かった、と言うには、その本を読んだのが昔過ぎて何とも言えないのが情けないのだが、縦書きのくせにそれなりにフォーマルな取り扱いをしていて、読んでいて楽しかった覚えはある。これを機会に、と言うのはじゃっかん失礼な言い方かも、だが、岩波あたりで再刊してもいいのではないだろうか。もちろん、旧字旧仮名のままで。
そういえば、ずーっと「おすすめ本」のコーナに掲げてある『万人の学問をめざして』で(いいかげん違う本にしたい! でも、時間がない!)、倉田令二郎は彌永昌吉のことを「無為無能」って言ってたけど、そんなにも「アレ」だったのかな?
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