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(この投稿は牟田口連夜さんのブログコメント欄で繰り広げられているやりとりが元になっています)
ちょっとうかうかしている間に、れんやさんからの労働史の提示やら、ベーシック・インカムへの疑問の投げかけやら頂いちゃってるのに、手早くお返事差し上げられなくて申し訳ないです。
まず、繰り返しになってしまいますが、ありうべき誤解をなくすために一言申し上げておくと、私とれんやさんのやりとりの発端となった「働かないでも食っていける奴ら」の存在というのは、事実そういう人たちが存在していた、ということを私は指摘しているだけで、何もそうした生き様が本当だとか、今こそ現代の「働かないでも食っていける」存在たるニートを称揚すべきだとか、そういうことを言っているのではありません。(一部削除。下の追記参照)
というわけで、労働史のことからいきましょうか。まず、普通に「労働史」と言った場合(あくまで「普通に」です)、そこからは通り一遍の事実しか引き出せない、ということを確認しておきましょう。「労働史」はあくまで、ある時代にはどういう労働形態があって何たらかんたら、とか、それが労働の集合体としてどういう経済形態をとってきたか、ということを叙述するだけで、そこに何がしかの「意味」や「価値」を見出したり提示したり、ということはありません。そうした客観的な労働の歴史、延いては経済体制の歴史が、ある「意味」や「価値」をそこに見出し始めるのは、いみじくもれんやさんが提示されたような「階級闘争史観」をマル経が言い始めてからです。
と、こう長々と申し上げておいて何なんですが、私が問題にしたかった、というより、私がhttp://from.blockblog.jp/9594/110977で問題にしかけたのは、あくまで「労働観」の歴史であって、「労働」の歴史でも、いわんや「労働争議」の歴史でもないのです。それでは、なぜ、私は「労働観の歴史」を問題にしようとしたか、と言うと、今ニートと呼ばれ働きも学びもせず塞ぎ込んでる人々は、この「労働観」に躓いている、と私には思えるからです(これはあくまで想定されうる一つのケースであり、何か実証的な裏付けがあるのか、といわれると弱いのですが。でも、この実証的な裏付けの有無に関してはみなさんもあまり大差ないと思います。また、この「労働観がニートを躓かせる」についてはここの荒井さんの投稿、および私の回答をご覧ください)。それで、ちょっと皆さんに質問、というか、御教示いただきたいのですが、マル経的な息吹がかかっていない、労働史でも労働争議史でも、もしあれば労働観史でも、そうしたものを御存知でしょうか? 返事を書くにあたって改めて自分の蔵書をひっくり返してみると、圧倒的、というか、全部が全部マル経的なもので、こりゃあ対する意見も知っとかなきゃなあ、と思った次第です。
次にベーシック・インカムのことについてですが、なんつーか、こう、何だってそう"All Or Nothing"な感じでしか物事を捉えられないですかねえ。私は別に、すべからく人はニートたるべし、なんてことは言っていないわけで、ベーシック・インカムというのもそんなものではないです。あと、事の序に言っておけば、今ニートとされている人たちが、雪崩を打って全就職とかしちゃったら、今ある自分の立場とかやばい人も結構いるんじゃないですか。や、これは別にれんやさんに向けたことではなく、一般的に。そういう、自分の身に降りかかるやも知れぬリスクも込みで、皆さんは「ニートよ、働け!」っつってんですかね? まあ、そう思うのはここの読みすぎか。閑話休題。で、ベーシック・インカムは、地球上の全人口が「働くの止〜めた」って言ったらそりゃダメでしょ。それは、もう、一も二もなく認めます。でも、私や、もちろんベーシック・インカムの提唱者たちが想定している事態というのは、致し方なく働けないでいる人たちや、生活保護を受けるにもミーンズテストやそれが齎すスティグマの前に尻込み人たちに、とりあえず無条件で生きることを保障する、というものです。そうした場合、ミーンズテストがないわけですから、受給対象は「全員」ということになります。そして、なぜ私がベーシック・インカムのことを言い出したか、と言うと、ニートっていう働かない奴らにも金くれてやれよ、ってなことでではなく、ベーシック・インカムによって「働く」ことと「生きること」ということが、とりあえずは切り離され、したがって「働く価値が生きる価値」というプレッシャーから解放されたニートのうち「働きたい」と思っている人たちは、現状よりも諸々の障壁なしに「働くこと」に足を踏み出せるのではないか、ということです。もちろん、ニートといってもさまざまだし、実証的な裏付けがない「放言」ではありますが、一処方箋として「どうかな?」と投げてみた次第です。さらに、ベーシック・インカムの功徳というのはそれに止まりませんが、というか、もともとニートをどうこうしようというものである以上それに止まらないのは当たり前なのですが、もっと知りたいという場合は、小沢修司『福祉社会と社会保障改革』をお読みください、ということです。
何か纏まりがない、というか、投げられたものをちゃんと打ち返せてるかなあ、と我ながら思うのですが、「んなこと聞きたかった訳じゃねえよ、バカ」ってな場合には、再度投げてください。という感じで、今日はこれにて。
(追記)
投稿したエントリを改めて読んでみたら、推敲途中で消し忘れていた一文がありましたので、リーダビリティの向上のため、その場所からは削除しました。最初に投稿したエントリには次の一文が、当エントリ中「(一部削除)」で示されているところにありました。
さて、とりあえず「労働」というものを「生きていくためにする何事か」と捉えた場合、それは「しようがないこと」としてとりあえずはあったはずで、そこに「生きる意味」とか自体的な価値を見出すものとしてあったわけではありません。
ま、その次のパラグラフのどっかに入れようとして、そのままにしちゃったんでしょうなあ。あーもう寝よ。
転職多いんでそれにつれ失職期間も多いですし、精神に失調を来してアレコレも体験してましてね^^;。
個人的には働かんで喰えるに越したことはないです。遺産で10オク程もあったら慶んで無産生活してますよ。
私もね、「働きたい」と思ってんなら働きゃいいと思うんですよ。でも、そうは言いながら働かない人たちに対して、頭ごなしに「働け!」ってのよりも、もうちと斜め上から、甘言を弄して、ってんじゃないけど、うまいこと言い竦めて働かせる方向に……って考えも、あります。
ほんとのほんとに働きたくない人は……まあ、そのうち市場がどうにかしてくれるんじゃないですかね?
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