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今日古本屋で買った1冊。

今どき『AIと哲学』だなんて……って、笑うな! そこ! しかも、「村上陽一郎 監訳」って……うん、その不安になる気持ちは、分かる。でも、目次を見ると、これでなかなか魅力的なんだから!

つわけで、今これを読んでる暇はないけど、せめてもの慰めに、「目次+ちょっとしたコメント」でレッツ逃避行動!



で、目次とコメントを書く前に、一応これがどんな本なのか、ということをざっくり言っておくと、1984年ロンドンで開かれた、「心と機械」という題目の英仏共同コロキウムが元になってる。「1984年」っつったら、もう相当昔、だけど、それぞれの内容は今も読むに十分値するものだと思う。

  1. 心の空間はどのような構造をもっているか(A.スローマン)
    「心の空間」って聞くと、フォコニエを思い浮かべちゃうけど、何かそういうことではなさそう。一般に「心」と言われているものが持つ機能を列挙し、それがどう「機械」にインプリメントされるか、って感じの章。
  2. AIの限界:思考実験と観念的探求(A.パーマー)
    内的表象をめぐるヒュームの問題に対し、AIは解答を与えるか……という話。何だかよう分からん。
  3. 機能主義・信念・内容(P.アンジェル)
    「……と思う」、「……を欲する」などの命題的態度をめぐって。ざっと読む限り、面白そうです。
  4. <思考の言語>検討(P.ジャコブ)
    前章の続き、というか、同じ話題。ここではフォーダーの論に標準を合わせ、その説に疑義を呈する、といった観。つか、今調べて知ったけど、あんまフォーダーって翻訳出てないのね。何でだろ、大御所なのに。
  5. 機械であるとはいかなることか?(A.ナラヤナン)
    もしや、と思ったけど、やっぱりネーゲルのこれを念頭に置いてるらしい。ナラヤナンはここで、ネーゲルの議論を「非生物」にまで拡げ、山形浩生のそれと共鳴する議論を展開する……おれ、ここで言われてることは、AI云々に限らず、すげー重要なことだと思う。
  6. 機械と心:機能の領域と認識論的循環(N.ムールー)
    サイバネティクスの「フィードバック」を参照項として、「循環」を肯定的に捉えなおす、って感じかな。
  7. パースと機械・自己制御・志向性(C.ティールスラン)
    AI論者の先駆けとしてのパース……。関係ないけど、おれ、パースってイマイチよく分からんのだよな。もちろん、パースについての教科書的な知識はあるんだけど、その固有性が掴みにくい、というか。
  8. チョムスキーの言語理論(J.ヒギンボザム)
    チョムスキーの言語理論のごくごく簡単なまとめ。ただし、MP以前まで。
  9. AIと他の諸科学との方法論的連関について(M.ボーデン)
    そりゃ、関連は色々あるでしょう、と。
  10. 論理型プログラミング(R.エナルズ、J.ブリッグズ)
    PROLOGの紹介。PROLOGには一時期凝ったなあ。
  11. 推論の計算モデル(E.シュラキ)
    色んな推論の紹介と、それをどう計算可能なモデルにするか、ということについて。とくに目新しい議論はなし。
  12. メタレベル推論と意識(A.バンディ)
    前章のように、色んな推論が計算機に乗ったとして、どの場合にどの推論を採用するか、どう推論するのか、をめぐって。
  13. 意味とは何か―あるコンピュータサイエンティストの視点(D.カイザー)
    何かについて推論を行う場合、その「何か」の意味を「理解」していなくてはならない……という問題から、「意味」とは何か、「理解」とは何かを問う。まあ、難問、ですよねえ。
  14. 人間と機械における創造性(M.ヤズダニ)
    お、何かオモロそうなもんが出てきた! おれ、この問題相当考えたことありますよ……って、おれが想像してたのとこの論文、問題の焦点が違ったみたい。おれが考えてたのは、おもに「藝術的創造」ってことだったんだけど……。
  15. 非決定論的な論理過程としての学習(Y.コドラトフ、J.-G.ガナシャ)
    一番最後になって、一番「ぽい」やつが出てきたな、という感じ。



あー、何だかんだ、ほとんど全部読んじゃったよ……。

さて、これから今日の授業の予習に取り掛かりますか。つか、台風は平気なのか?

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コメント
はやしさん、実は私もちょうど10年くらい前にAIに興味を持ち始めました。しかし、もうどうしても相場師でもしないといけなくなって、それ以来、何もAIについて学べていません。どうやら、AIってのは、こと予測ということについては結構できるみたいで、例えば、百発百中でなくてもAI自身が自信をもって出した競馬のレースの答えは、実際、100%に近い確率で的中するレベルまできているときいています。(ただ、言っていた本人が、法螺話が多いとしか思えん人なので、嘘かもしれませんが・・。)
で、まあ、それは、僕としても嘘ではない気がします。
しかし、こと、人の感情、創造性となると、「はやしさんでないと、突破口が開けない」気がしています。あるいは、競馬といった、特定のカテゴリーでなくて、すべての事象の予測が可能なAIとなると、こりゃまた「はやしさんでないと、突破口が開けない」気がしています。
でも、なんで、はやしさんと僕って、ドゥルーズやAIと、強烈に魅力というか魔力を感じるものが似ているのでしょうね。(笑)
で、ドゥルーズの記述って、サイエンスの先端でも、分子生物学を意識したそれが多くて、AIを意識したそれって比較的少ないのに(脳の延長線の上でAIを意識しているというのはありますが・・・)、ドゥルーズ好きなはやしさんや私が、分子生物学でなくAIに魅せられてしまう、これは何とも不思議としか思えません。
はやしさんの年齢で、僕もちょうどAIって面白そうと感じつつ、経済的事情がその分野勉強を許さなかったってのもありますが、それより、やっぱり、論理や哲学や数学で、はやしさんの足元に及んでいなかった僕は、どのみち、何もAIについて学ぶこと、ましてや、新しい発想をそこから生み出すことなんて出来ていません。
はやしさんが言っていたCSって、実はAIのことなんだ、と先日分かった瞬間から実は、僕までとてもわくわくしています。しつこくて悪いですが、期待してますよ。本当に
原作たそがれ清兵衛 2005/09/24(Sat)09:29:00 編集
「予測」ってことに関しても、確かにAIは関わってきますが(ただ、今日び、その手の「予測」に用いられる諸手法を指して「AI」と言うことは少ないと思います)、ぼくはそういうAIの側面に惹かれるのではなく、いわゆる「強いAI」と呼ばれるような、「機械に心を宿らせる」ということに惹かれます。というか、ぼくは人間とよりもむしろ、機械との方がうまくやっていける性質なので、「機械にも心があるべきだ」というか、あるに違いない、という妄想めいた想念が然らしむることなのかもしれません。

とはいえ、ぼくが実際に研究しようと思ってるのは、専一的にはAIではないんですよ。もちろん、AIがらみの自然言語処理とか、翻って人間の認知機構とかその限界にも多大なる興味を抱くのですが、どーもこれらのことって、ややもすると「役に立つ」ことがありそうでイヤなんですよね。どうせやるなら、徹頭徹尾「役立たず」な、少なくとも「そんなことして、何になるの?」と人が思わず借問してしまうようなことがやりたい、と思っています。
はやし 2005/09/25(Sun)01:12:00 編集
はやしさん
>AIがらみの自然言語処理とか、翻って人間の認知機構とかその限界
これこれこれ、これですよ。僕の興味の対象は。それで、もちろん
>機械に心を宿らせる
これもです。
で、これらは、どうみても役に立つ可能性が大ですね。

なぜ、僕の興味の対象であるかと、「吉」問題を考えるにどうしても避けて通れなさそうだからです。当然、この領域の成果は、良きにしろ、悪しきにしろ、「吉」問題に一石を投じてくるでしょう。
これで、はやしさんが、僕と縁と絶ちたくなっても、私はしつこくついて行きますからね。
この辺の事情をご理解いただけずに、荒井さんとシータさんにお叱りを受けましたが。
運命と思って、あきらめてくださいね。(笑)
原作たそがれ清兵衛 2005/09/25(Sun)01:45:00 編集
わはは、「はやしさんが、僕と縁を絶ちたくなっても、私はしつこくついて行きますからね」って、こりゃまたえらい宣言ですな!

で、荒井さんとこでの「荒井さんとシータさんにお叱り」を受けた件ですけど、あれって言うなれば、何か「のろけ」を聞かされてるような感じだったんじゃないですかね。もちろん、原作たそがれ清兵衛さんのああした発言の真意はそんなことではないと思いますが、諸々すっ飛ばしてその発言形式だけを見れば、まあそう取られちゃってもしゃーないかな、と。

原作たそがれ清兵衛さんの「真意」は、そもそも誰が「天才」だとか何とか、ってこととは関係なく、それこそ原作たそがれ清兵衛さんの持つ問題意識とそれに伴う実践との共鳴が、原作たそがれ清兵衛さんをして斯様な評言をおれに対して為された、ということだと思うんですが、この場合、表向き前景に出てるのは確かにおれの話であるにせよ、本当のところ重要なのは、その「共鳴」ですよね。で、そこに、たとえば電車の中でオモロイきちがいを見て、「今日電車ん中でこんなやつ見たんだけどさ……」的な、人に対する興味、ってのも加味されて、それがないまぜになったがゆえに、ああいう顛末になったのでは、と思います。

ま、何であれ、それもこれも「運命」ですよ。
はやし 2005/09/26(Mon)01:52:00 編集
「『強いAI』についてどっかで、時代遅れ〜、みたいな事書いたかもしれないけど」って、ペンローズのENMにからめて、の発言で、だよね? まあ、気にするも気にしないも、「強いAI」ってことで何が言われているのか、ってことが、おれとペンローズでは微妙だけど決定的な違いがあるから、直接的な比較は出来ないけど……とはいえ、一般的に「強いAI」って言うと、時代遅れの観があることは確か。ま、であるからこそ、おれの場合手を出したくなっちゃうんだけど。

ほいで、「機械であるとは……」って、
ええやろ?
はやし 2005/09/26(Mon)01:57:00 編集
いや、笑ってないし村上氏の監訳だからって不安がってもないよ。
ネーゲルの「コウモリであるとは…」は本屋で立ち読みした事有る。図書館だったら借出したんだろうけど・・・
「機械であるとは…」はいいな。
「無機物であるとは…」「一切全てであるとは…」「オンナであるとは…」いくらでも出てくるもんな、うん。
「強いAI」についてどっかで、時代遅れ〜、みたいな事書いたかもしれないけど気にしないでね♪

可能性を広げ、関係性の網の目を分断しないで…、言い換えれば、この宇宙を弱くしない試みは全部応援する。
(ええやろはもうやめとこ)
宮本浩樹 2005/09/26(Mon)12:02:00 編集
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