ぼくの好きな日本の音盤 [音]

ぼくの好きな日本の音盤。

あぶらだこ/亀盤
中学三年生のとき、新宿のUKエジソンで、ポップに「和製レイプマン！」というようなことが書かれていたので、当時アルビニフリークだったぼくはいちもにもなく買った。「和製レイプマン」という呼び方が的を射ているかどうかはともかく、一聴「すげえ音楽だ」と度肝を抜かれ、そのとき通っていた塾（ぼくが通っていた中学は高校も併設されており、よっぽどのことがなければ高校まで行けるのだけど、ぼくは「よっぽどのこと」をしてしまったらしく、高校へのエスカレーター進学の道が絶たれてしまったので高校受験をしなければならず、しかたなく通っていた）の行き帰りにはかならずこれを聴いていた。音楽のかっこよさもさることながら、「和音のメガテリウム／基盤を抉れ」だの「平方根の鬱と耽美よ／抱いておくれ」だのという長谷川裕倫の繰り出すフレーズにもしびれた。あぶらだこは、出す音盤どれもいいのだけど（世間的にあまり評判のよろしくないらしい釣盤ですら、ぼくは好きだ）、ぼくがこれを最初に聴いたからというひいき目を度外視しても、この亀盤がいちばん完成度が高いように思う。

割礼/ネイルフラン
割礼は、ファーストの『パラダイスκ』もセカンドの『Live '88』もすばらしいアルバムで、作品の出来も、そして聴いた回数も甲乙つけがたいのだけど、いちばん最初に買った割礼のアルバムということでこの『ネイルフラン』を。（ちなみに、このアルバムは、高校生のころ学校帰り、学校の最寄り駅の駅ビルに入っていた新星堂で買った。この新星堂ではたしか、ディアマンダ・ギャラスとかSPKのボックスも買った覚えがある。駅ビルに入っているレコ屋によくそんなものが置いてあったものだ）一曲目「溺れっぱなし」での宍戸幸司のギター、早川岳晴のエレクトリック・チェロ、そして箕輪扇太郎によるドラムのからみが最高にかっこよく、一発でノックアウト。とにかく、宍戸幸司のギターはほんとうにかっこいい。（とくに、『Live '88』収録の「リボン騎士」のギターソロは、ぼくがいちばん好きなギターソロ、かもしれない）あと、あぶらだこのそれとは異質だけど、宍戸幸司の書く「あきらめきった顔の／太陽の真ん中のリフに／言葉をのせて君におくるから／沈む夕日を見ていてくれ」みたいな詞も、ぼくはとても好きだ。

YBO2/Alienation
これはいつ買ったのだろう？　精確には思い出せないけど、中学生のときに買ったのはまちがいない。とにかく、それ以来、少なくとも一年に一度は爆音で聴きかえしている。北村昌士のボーカル／ベース、岸野一之のギター、そして吉田達也のドラムがそれぞれ尋常でないほどかっこよく、打ち震えた。当時はあまり意識していなかったけれども、いまから思い返すとこのアルバムが、のちに（それなりに）ディープにプログレを聴く機縁になったのかな、とも思う。

Boredoms/Soul Discharge
ボアダムスはこれ以前に『恐山のストゥージズ狂』も聴いてはいたのだけど、いまひとつピンとこなかった。なので、このアルバムもそれほど期待しないで聴きはじめたら、あらびっくり、ポップさとスカムさの絶妙なさじ加減が耳をとらえて離さなかったのでした。そして、「あらためて言うまでもない」ということだろうけど、演奏能力も相当高い（とくに、ヒラのベース！）。

それにしてもゴッドママっていま何やってるんでしょうね。

エレファントカシマシ/生活
これは、たしかラジオで収録曲を聴いて、そのあまりのフリーキーさにびっくりして、思わず買ったのだと思う。音像のバランスがぶっ壊れてることはもとより、それ自体として「商業音楽」として売るにはむずかしそうなボーカルと、そしてこれまた商業音楽のそれとしてはフリーすぎる（おそらくは宮本浩次じしんの）ギターのカップリングに、「こういうものがメジャーレーベルからぬけぬけと発売されるのか」とすがすがしい感銘を受けた。（その後、彼らのアルバムをさかのぼって聴いたのだけど、あまりぶっ壊れておらず、「わるくはないけどよくもない」としか思わなかった）