スティーヴ・アウディの講演会に行ってきました。 [趣味の数学]

スティーヴ・アウディの講演会に行ってきました。

お題は、スティーヴが近年、ティエリ・コカン（Coq の人）やウラジミール・ヴォエヴォドスキー（フィールズ賞受賞者）とともに精力的に研究しているホモトピー型理論についてで、これがめっぽうおもしろかったんでまとめがてら近日中ブログに何か書ければいいなあと思っていますが、今日は、ちょくせつ講演の内容とはかかわらないけどちょっとおもしろかったことを少しばかり。

講演はまず、「数学の基礎を与えるものとしてのホモトピー型理論」という話題からはじめられたのですが、そのさいスティーヴが「でも、じっさいのところ、数学者は『数学の基礎』なんてことはあんまり気にしてないんだよねえ」と言って、「ここに来ている人の半数ぐらいは数学科の人だと思うんだけど、そのなかで ZF の公理系を列挙できる人ってどれぐらいいる？　いたら手を挙げてみて」と問いかけたところ、手を挙げた人は皆無。ぼくも「数学やってる人の大方は ZF(C) だのなんだのこしゃこしゃしたことはどうでもいいと思ってるだろうな」とは思ってはいましたが、じっさいその証拠と思われる現場を目にして「おお」と思いました。

あと、おそらくはティエリ・コカンと思われる人が来ていたのですが、その人が小学校に上がるか上がらないかというくらいの娘さんを連れてきていて、それで、話題が Coq にふれたとき、そのティエリ・コカンと思しき人が娘さんの耳元で何か「ごにょごにょ」と言ってたんですね。彼がティエリ・コカンその人だとすると、たぶん、「この Coq ってのはお父さんが作ったんだぞ」とか何とか耳打ちしたと思われ、何だかほほえましいなあ、と思ったのでした。（ただ、その人はティエリ・コカンでもなんでもないという可能性もじゅうぶんあって、だとすると、この「ほほえましいエピソード」はもっぱらぼくの妄想ということになり、その場合、「ほほえましい」のはぼくの頭だ、ということになる）

追記：上記に述べた方は、どうもティエリ・コカンさんではなかったようなので（そもそも、もしそうであれば、別途講演があったはず）、大方の予想通り、ほほえましい（より正確には、おめでたい）のはぼくの頭でした。