証明論 (2.75): 記法についてじゃっかんの補足 [証明論]

記法についての説明が不十分だったので以下に補足します。

まず変数について。
命題変数: $A, B, C, D, \ldots$（大文字のラテン文字）
自由変数: $a, b, c, \ldots, m$ (小文字のラテン文字 $a$ から $m$ まで)
束縛変数: $n, \ldots, x, y, z$ (小文字のラテン文字 $n$ から $z$ まで)

ドイツ文字は変数を表すメタ変数として使われます。
命題変数を表すメタ変数: $\mathfrak{A}, \mathfrak{B}, \mathfrak{C}, \mathfrak{D}, \ldots$（とくに $\mathfrak{M}$ はミックス式を表すメタ変数として用いられる。また、$\mathfrak{F}$ はもっぱら函数を表すメタ変数として用いられる）
自由変数を表すメタ変数: $\mathfrak{a}, \mathfrak{b}, \mathfrak{c}, \ldots, \mathfrak{m}$（じっさいは $\mathfrak{a}$ 以外あまり用いられない）
束縛変数を表すメタ変数: $\mathfrak{n}, \ldots, \mathfrak{x}, \mathfrak{y}, \mathfrak{z}$（じっさいは $\mathfrak{x}$ 以外あまり用いられない）

（現時点では変数／メタ変数の区別に神経質になる必要はないので、かりにメタ変数が使われていても、たんじゅんに変数として捉えてもらってもかまいません）

大文字のギリシア文字（よく用いられるのは $\Gamma, \Delta, \Theta, \Lambda$）はメタ命題変数の（空かもしれない）任意有限列を表します。

以上の変数群はときに添字をともないます。

ひとつ具体例を見てみましょう。以下のシーケントは次のように解釈されえます。

$\ \ \quad \mathfrak{D}, \Gamma \rightarrow \Theta$
$\Rightarrow \mathfrak{D}, \mathfrak{G}_1, \ldots, \mathfrak{G}_m \rightarrow \mathfrak{T}_1, \ldots, \mathfrak{T}_n$
$\Rightarrow \mathfrak{D}\&\mathfrak{G}_1\&\ldots\&\mathfrak{G}_m \rightarrow \mathfrak{T}_1 \vee \ldots \vee \mathfrak{T}_n$（ここで $m, n$ は自由変数ではなく添字の終点を表す任意の自然数とし、それらが $0$ のときは空列を表すとする）

また、あまり用いられることはありませんが、$\curlyvee, \curlywedge$ はそれぞれ真と偽を表す定数とします。

以上、理解の一助になればさいわいです。