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昨日めでたく採点を終えた初等論理学のテストですが、採点しているとみんながどこでつまずくのかが見えてきて、なかなかおもしろいです。そういう、論理学ビギナーがつまずきやすい点のなかで、次の2点がとくに目立っていました。
- 同値記号≡の使い方
- 十分条件/必要条件の区別
第1点目に関しては、けっこう「え、なんで?」という感じだったりもするんですが、「命題Pと命題Qの真理値が等しいとき(つまり、両方とも真か、両方とも偽のとき)、そしてそのときのみ、P≡Qは真」という基本に加え、排他的論理和、つまり、「AかBが真、ただし両方とも真であることはない」ということは、この同値記号を使って「¬A≡B(あるいは¬(A≡B))」とも表せる、という追加情報をも吹き込んだことが混乱のもと、だったのかもしれません。
第2点目に関しては、高校の授業のときにもけっこう混乱している人がいたので、今回もきびしいだろうなあ、と思っていたら、案の定、でした。こうした「つまずき」をどうするか、いちばんいいのは
- P→Qという命題があったとき、
- PはQの十分条件
- QはPの必要条件
ということを愚直に覚え込んでしまうこと、かもしれませんが、日本語の場合、「十分」と「必要」ということばがそうした「愚直な覚え込み」を阻害している側面もなきにしも、かもしれません。だから、たとえば、ここでPを「東京にいる」、Qを「日本にいる」としたとき、P→Qは「東京にいれば、日本にいる」となるわけで、しかるに
- 「東京にいる」という条件が満たされれば、「日本にいる」ということは自動的に成り立つ
- 「日本にいる」という条件は、「東京にいる」ということが成り立つためにはぜひとも必要
という感じにパラフレーズできるので、これを起点に、十分条件のことはちょっと忘れて、必要条件のほうをがっちり覚えてしまい(そして、この必要条件は、じっさいに日本語の語感からしても「必要」ということなので、覚えやすい、と思う)、十分条件は「必要条件じゃないやつ」と陰画的に覚えるのがよいのではないかと。
と、おとぼけはともかく(いや、じゅんすいに「おとぼけ」かと言えば、そうとも言い切れないんですが)、それはsufficientとnecessaryが素で通じるこっちの人には、使えそうですね。今度わがもの顔で使ってみます。
「相場で儲ける」→「正しい相場の知識を持っている」
は成り立ちます。しかし、
「正しい相場の知識を持っている」→「相場で儲ける」
は成り立ちません。
「正しい相場の知識を持っている」と「相場で儲ける」は同値ではありません。
なぜなら、実際に「相場で儲ける」には「正しい相場の知識を持っている」こと以外にも、「精神面で安定している」ことや「実行に移せること」が必要とされるからです。(以上は、ぷっつん大吉の解説です。まあ、少なからず疑義はあるのですがね。(笑))
「相場で儲ける」ということにおいて、「正しい相場の知識を持っている」ということは必要条件ですが、それだけで十分というような必要十分条件ではありません。
この表記、かなりグレーだと思いませんか?
より正確に言うと、一読した瞬間、十分条件の定義を、掃きちがえているのではなかろうかと感じざるを得ませんでした。
非常に気になるのは「それだけで十分というような必要十分条件ではありません。」という件。
確かに、文章の最も適切な係り結びを取っていけば、論理的には間違っていないとは思います。
「相場で儲ける」ということにとって、「正しい相場の知識を持っている」ということは必要条件ですが、それだけで十分というような十分条件ではありません。
あるいは
「相場で儲ける」ということにとって、「正しい相場の知識を持っている」ということは必要条件ですが、必要十分条件ではありません。
なら、何もグレーさはないと思います。
確かに、世間では「十分条件」や「必要十分条件」をその定義から逸脱した意味に理解している方が大勢いらっしゃり、ゆえに、その層を意識した書き方として、件の表記は文面を考えた人が腐心された結果の妥協の産物とも取れます。
ただ、そんなら、「必要条件」やら「必要十分条件」なんてタームをわざわざ使う必要は無いといえば無いでしょう。
って、感じで、あっちに書こうとしたら フェイルしました。
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