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時間がないので、本もののエントリがつづいてしまうけど、まあ、しようがない。


From Mathematics to PhilosophyReflections on Kurt GödelA Logical Journeyなど一連のゲーデルものの著作でおなじみのハオ・ワン編纂のスコーレム著作集(蛇足ながら、ハオ・ワンとゲーデルの交友は、この本の序文をめぐる書簡のやりとりがきっかけである。そのやりとりに関しては、ゲーデル著作集第5巻を参照)。

スコーレムのロジック関連の主要な書きものについてはFrom Frege to Gödel所収のものでおおむね事足りるのだけど、スコーレムについてややつっこんだことを言おうとすれば、この文献はやはり必須参照となる。

また、ハオ・ワンの序文は、スコーレムの(ロジックがらみの)仕事について、ひじょうによいサーヴェイを与えてくれるので、そこだけでも読む価値あり。


自然演繹体系NK、NJおよびシーケント計算体系LK、LJ、そしてカット除去定理でおなじみのゲンツェンの著作集。

うえで述べた業績のほか、ゲンツェンと言えばやはり算術の無矛盾性証明が有名だが、その証明がおこなわれた"Die Widerspruchsfreiheit der reinen Zahlentheorie"(の英訳)もこの著作集にはとうぜん収められている。

「算術の無矛盾性証明」と言うと、かの名高いゲーデルの不完全性定理によって、その可能性が根絶やしにされたと思われているふしがあるが、ゲーデルの定理はただ「算術内部でそれ自体の無矛盾性証明を遂行することはできない」と述べているだけであり、算術を(何らかの意味で)「超える」ような体系における算術の無矛盾性証明の可否については、ほとんど何も述べていない。

ゲンツェンは、「初等算術の無矛盾性」において、数学的帰納法の拡張、および帰納法の対象たる論理式の限定という方途を以って、不完全性定理がもたらした「不可能性」をかいくぐり、算術の無矛盾性を証明した。


さいきん、ふと、π計算が気になったので、π計算の創始者ミルナーによる、だいぶ前に流し読みしたことがあるこの本を。

「π計算」とは、この書のタイトルが如実に表すとおり、あるエージェント間の「交信」と、そして、そうした交信がもたらす変移を扱う計算体系である(こうした説明からも容易に窺い知れるとおり、ある意味オートマトンの拡張系と考えられる部分もある)。

この本は、そうしたπ計算を、ひじょうに簡潔に、かつそれほど肩肘はらない書きぶりで教えてくれる好著(ただ、記述の簡潔さが「あだ」となり、「もうちょっと例がほしい!」となることもあるので、そういう場合はπ計算についての最近刊であるこの本で補えるのではないか、と)。

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