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「スローフード」というやつがきらいだ。きらいすぎて、「それが何か」ということを精確に知ろうなんて気にもならない。だから、この「きらい」というのは、「スローフード」について聞き齧った断片断片の知識に起因する印象嫌悪にすぎない、ではあろう。それでも、きらいなものはきらい。だから、それについて、書く。
とはいえ、まったく何にも知らずに、「印象」だけで批判するのも気が引ける。そういう生真面目なおれは、まずウィキペディアの「スローフード」の項を見てみた。そして、吹いた。ウィキペディアには、こうある。
スローフード(Slow Food)とは、その土地の伝統的な食文化や食材を見直す運動、または、その食品自体を指すことば。……ファーストフードとの対立概念としてスローフードを考えると、理解に誤りを犯すことになる。
まずもって、この概念既定が気に食わない。もし、世に言われる「スローフード」というやつがほんとうに「その土地の伝統的な食文化や食材を見直す」ことを目指すのであれば、すなおに「トラディショナルフード」とでも言えばいいではないか。しかも、ごていねいに「ファーストフードとの対立概念としてスローフードを考えると、理解に誤りを犯すことになる」とまで言っておきながら、そのすぐあとの「経緯」の項では、つぎのようにある。
1980年代半ば、ローマの名所の1つであるスペイン広場にマクドナルドが開店した。このことが、ファストフードにイタリアの食文化が食いつぶされる、という危機感を生み、「スローフード」運動に繋がったという。
いや、あのー、「スローフード」を「ファーストフードとの対立概念として……考える」のは、その経緯から言ってもめちゃくちゃ正当なような気がするんですけどー。そんなふうに、ふだんはあまり使わない「ー」を使って言ってみたくなる。それぐらいにすてきな流れ、である。この時点で「スローフード」なんてものは個人史的な記憶から抹消し、すぐさまマクダーナルに駆け込んでQuarter Pound with Cheeseをルートビアで流し込みたい衝動に駆られるが、いましばらく辛抱し、「スローフード」批判をつづける。
ともあれ、その内包が何を意味するのであれ、「スローフード」がファストフードを範に採った名付けであることは、紛れもない事実であるような気がする。そして、「スロー」と言い「ファスト」と言っても、それらはあくまで「時間軸」を評価の基準として定めている点に関しては、選ぶところがない。つまり、両者とも等しくTime is moneyな「資本主義的価値観」の申し子である。それなのに、「スローフード」陣営はあたかも、そういう趨勢から身を引けているかのような口吻でものを語る。つまり、「アンチ・グローバリズム」の人たちが、さんざんグローバリズムの恩恵にあずかりつつも、そういう自らに都合のわるい事実はすっぽり脱落させ、そのうえで「正義の味方」を気どる構図と、ひじょうによく似ている。それが、何とも言えずきもちわるい(し、「この人たち、端的にあたまがよわいのでは?」とも思わされる)。
そして、「ファスト=わるい」「スロー=よい」という、たんじゅんきわまる二項対立をでっちあげる、「素朴」という言葉も届かないほどの、短絡思考。よく考えるまでもなく、何かに要した時間と、その何か自体の評価は、(まったく、とまでは言わないが)それほど関係がない。「ファスト」でもよいものはいくらでもあるし、「スロー」でもだめなものも、いくらでもある。そうしたことを隠蔽し(あるいは、そういうことを見る「眼力」に欠けているので)、「対立する概念」(そして、こうした「概念の対立」も、よくよく考えをめぐらしたうえで定立されたものではなく、ごく表層的なものにとどまる)の片方に、またべつの「対立する概念」の片方をカテゴリカルに割当てるこの姿勢は、「自分の頭で考える」人たちの姿勢と、ふしぎなほど似通う(「自分の頭で考えるのは、カテゴリカルに、よい」)。
また、「スローフード」にしても「アンチ・グローバリゼーション」にしても、そうした運動の「敵」はほぼかならず「アメリカ(的なもの)」であるのだが、こと「スローフード」に関して言えば、アメリカは世界で類を見ないほど「スローフード」が日常に根づいていることに、「スローフード」ということを言い募る人たちは、まったく気づいていないように思える。つまり、ほんとうに(二重の意味での)「スローフード」を推進させようとするなら、まずもってアメリカを範に採るべきなのだが、けっしてそうはしない。要するに、色んな「内実」が詰まったようなことを口先では言うが、けっきょくは「没落」気味のヨーロッパ陣営がたんに「アメリカ憎し」でやっている、きわめてイデオロジカルなものなのではないか? そうも思ってしまう。
そんなわけで、おれは「スローフード」がきらいだ。
ともあれ、スローフードという語感は、「ロハス」や「愛は地球を救う」に通じる安直感があるね。
だから、いわゆる「スローフード」という看板の下で言われていることにも、そりゃあ傾聴すべき意見だってあるんだろうけど、そういうことを知ろうとするまえに、おれはちょっと引いちゃうな(それは、「ロハス」しかり、「愛は地球を救う」しかり。つうか、「愛は地球を救う」に関して言えば、ふつうに考えて「愛」は「地球」を救わないよね)。
昨年いっぱいで違う会社に移籍しようと思ってたんだけど…社長にバレてまだ転職できず!少なくとも250万円の年収アップの機会を剥奪された…他人の利益機会を剥奪した以上、それなりのベネフィットを与えてもらわんと困る(副社長ではどうかと冗談で言ったが…それは駄目と言われた。)!と思っている最近の藤崎でしたア!
…でこの投稿って2008年なのね。オイラの場合食い物にはうるさいのので反応してしまった。スローフードって興味なかったけど…なんだか思想的背景があったのね。
そもそも個人的な志向・嗜好に関するテーマを一般的な思考に消化・昇華するやり方って一流の思想家がやらないと醜い結果に終わるんだよね…多分。
オイラの場合、食事はかなり時間(お金も)をかける方だけどファスト・フードも好きだね。何でも対立軸にしようとするアホが問題なんだよね。
つうか、末筆になっちゃいましたが、あけましておめでとうございます。今年も日本に帰るかどうかびみょうなんですが、帰国したあかつきにはぜひお会いしましょう!
いま昆布で出汁とってます。今夜は家族でズワイガニのシャブシャブです。これから3時間くらい夕食タイムとなります。
…で全然話が飛んじゃいますがブログは続かないのでTwitterに変えます。そもそも他人のブログではまとまった文章が書けるのに自分のブログでは書けないことを自覚しやした。もうすぐ50歳なのに…
@fujisakitatsuyaでつぶやきます。140字
ならなんとかなる!
カニしゃぶ、いいですねえ。あ、そう言えばおれもこのあいだ、スローフードってわけじゃないですけど、スッポン1匹買ってきて捌いて食いました。うまかったです。
で、ツイッターのほう、さっそくフォローしました。またそっちのほうでももろもろお話できれば、と思います。
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