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自分に中高生の娘や息子がいて、そして、彼や彼女が「何かおもろい(いい)本なぁい?」と聞いてきたら、どういう本をすすめるだろうか? そんなことを、なぜだかぼんやりと思った。いま絶賛実施中の「愚にもつかないことを書こう!」運動のネタとしても申し分なさそうだし、なにより、「本を選ぶ」というのは何だかんだたのしいものなので、論文書きの息抜きとしてそぞろに考えてみる。
まず、こういう場合に定石なのは、じっさいに自分が中高生のころに読んでいた本をすすめる、というものだろう。この線でいくと、以前「とりあえずのベスト」として挙げたもののうち、百科事典以外のもの、つまり、スマリヤン『パズルランドのアリス』、ギブスン『ニューロマンサー』、ボルヘス『伝奇集』、そしてヴィッゲンシュタイン『論理哲学論考』はまずすすめることになる。
このほかに、惜しくもベスト入りは逃したが、中高生くらいの時分に読んで感銘を受けた本としてホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ』、フーコー『言葉と物』、そしてドゥルーズ=ガタリ『アンチ・オイディプス』などがあり、とくに、ドゥルーズ=ガタリ本は、若いころ(少なくとも大学入学以前)に読んでおくと「世の中には何だかよく分からないことを言う人がいるもんだな」ということが身をもって実感でき、いいのではないか。また、『言葉と物』も、たしかにむずかしいはむずかしいけど、がんばって読めば高校生にもじゅうぶん太刀打ちできる本だし、それに、何かをちくちく考えるということのおもしろさは、けっこうまじめにノートを取りながら読んだこの本から実地に学んだような気がするので、彼あるいは彼女(もしくは両方)の気質にさえ合えば、いちおしすると思う。ぎゃくに、『ゲーデル、エッシャー、バッハ』は、中学生のころはむちゅうで読んだけど、いま思いかえせばけっこう冗長な本でもあり、分厚さに比して得るところもあまりないような気もするので、無謀かもしれないが『ゲーデル、エッシャー、バッハ』のかわりにこれをすすめてしまうかもしれない。
さて、上記の本はじっさいに自分が中高生のころ読んだもののなかからのセレクトだが、そうではなく、大学入学以降「もっと早く読んでおけばなあ」と思った本も、まちがいなくすすめるだろう。そうした「もっと早くに読んでおけばなあ」本の筆頭は、飯田隆『言語哲学大全』全4巻、ということになると思う。あとは、もし数学に興味があれば、『解析入門』もすすめたい(ロルの定理から平均値の定理を経て最大値最小値の判定可能性を導出するくだりは、ほんとうに感動した)。クーチュラのブール代数本や、バーコフ=マクレーンの代数本も、翻訳があればすすめたいところだが。
あとは、そうだ、ファインマンのこの本を忘れてはいけない。これは、ぜひとも中高生には読んでほしいし、そして、もし中高生のときに読めなくとも、いくつになっても読んで損はなく、たのしめる本だ。以前このブログでも書いたことがあると思うが、おれは年に1回はかならずこの本を読みかえし、そのたびにいい気分になっている(ちなみに、おれが酒を飲まないのは、この本の影響である)。そうなると、朝永振一郎の『量子力学と私』や『科学者の自由な楽園』もすすめなきゃな。ああ、伝記物ではこういう奇書もあったっけ。
これだけだと、ちょっと「学的」なものにラインナップが偏っており、情操教育にもよろしくないので、何か「文学」からも、と思うが、しょうじきあまり思いうかばないな。プルーストなんか、中高生で読むとそれはそれでおもしろいかもしれないが、まあ無難なところでこれとかこれとかこれとかこれをすすめとく、かな(いずれも中高生のときに読んで「おお!」とか「うわ!」とか思ったので。とくにバロウズは、いっぱんでの「訳が分からない」という受けとりとはちがい、あんがい感動的かつかなりリリカルなので、やはり若いうちに読んだほうがいい、と思うのだ)。いや、でも、本をすすめた挙句、子どもから変人扱いされるのもいやだし、どうしようか。
そのほかには……とつづけていくときりがない。あとは、じっさいに子どもができたりしたら考えよう。
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