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先日「もし自分に中高生ぐらいの子どもがいて、彼ら彼女らが『何かおもろい本ない?』と聞いてきたらどういう本をすすめるか」という、「愚にもつかない」想定のもとでエントリを書いたわけだが、それをはてブしてくれている人がいて、そのブクマコメントに「中高生くらいの時分に読んで感銘を受けた本としてホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ』、フーコー『言葉と物』、そしてドゥルーズ=ガタリ『アンチ・オイディプス』などがあり」というところが抜粋として引かれており、それを見て何だか「おれはこんな本を中高生のころから読んでたんだぞすごいだろ」と言っているような感じがして、はずかしくなってきた。ゆえに、いまさらながらではあるけれども、「いや、そういうことではないんですよ」という言い訳を、ひとつ。

まず、それらの本を読んだのを、ごく荒っぽく「中高生」としており、ことによったら「ドゥルーズもフーコーも中学生のときに読んだ」という解釈を許す書き方になっているが、これは「もし自分に中高生ぐらいのこどもがいたら」という想定を引きずっているだけの話で、上記3冊のうちじっさいに中学生で読んだのは『ゲーデル、エッシャー、バッハ』だけである。それにこの本だって、すみからすみまで理解したわけではなく、しかも、おれの場合さいわいなことに、かなり小さい時分からコンピュータをいじっていたり、なぜだかブルーバックスの『ゲームの理論入門』などを愛読していたりしたので、論理演算というか数理的思考法のようなものにもそれなりに早くからなじんでおり、そういう面でのアドヴァンテイジがあったことも注記しておきたい。

また、ドゥルーズに関しては、これは何度かこのブログ上で書いたことがあることだが、何の因果か中学生のときに「ノイズ」なる少しずれたジャンルの「音楽」を聴きはじめ、そして、そのノイズに関するガイドブックとして愛読していた『銀星倶楽部』ノイズ特集号で、SPKのグレアム・レヴェルが『アンチ・オイディプス』の名前とともにドゥルーズについて語っていたのが、「ドゥルーズ」という名前にふれた最初であった。だから、その名前だけは中学生のときに知っていたことにはなる。しかし、じっさいにその書、つまりは『アンチ・オイディプス』を読んだのは高校生になってからで、しかも、これは「かりに、もし」でも書いたように、最初読んだときにはその内容はさっぱり分からなかった(だが、「世の中には何だかよく分からないことを考えている人がいる」という、これはこれで貴重な感慨をいだいたので、そういう理由ですすめよう、と思った次第)。

フーコーについては、その書『言葉と物』を読んだのは高校3年のときで、これはべつだん奇異なことではない、つまり、とくべつに早い時期に読んだというわけではない、と思う。しかも、『言葉と物』を読んだことのある人は同意してくれると信じるが、『言葉と物』は嵩が張っているだけで、内容や書き方はそれほどべらぼうにむずかしいわけではない。高校の3年間でそれなりに本を読んでいれば十二分に対応できるものである。(なお、参考までにフーコー、および『言葉と物』を知った経緯を記しておくと、それは、高橋源一郎『ぼくがしまうま語をしゃべった頃』所収の高橋源一郎と吉本隆明の対談において吉本隆明が「これを読んでないとモグリだって本は『言葉と物』ぐらいだと思う」と言っており、それがつよい印象を残した、というわけである)

……というわけで、「すごいだろ」という自慢話では、さらさらないのです。

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凄いですよ。充分凄いです。
ページをどんどん 「進化」 させて下さい。
楽しみにしています。
○被 2008/03/17(Mon)15:37:00 編集
うーん、いやあ、じっさいほんとのほんとに、あまり「すごい」感はあたえたくない、んですけどねえ。そうではなく、むしろ、もし若い人がここを読んでくれているとして、そういう彼ら彼女らが「じゃあ、おれ(わたし)も読んでみるかな」と思ってくれれば、これに過ぐるさいわいはない、という感じです。あと、若かろうが若くなかろうが、「こういうなに言ってんだかよく分からない本を読むのって、たとえば夏の暑いさなかに体をめちゃくちゃに動かして汗をだくだくにかくような、そんなきもちよさがあるぜ」という誘い、というか(じっさいぼくは夏の暑いさなかに体をめちゃくちゃに動かしたりはしないのですが)。

日ごろの雑事に忙殺され、ここ(ブログ)でにかぎらずもろもろ「やりたい」と思っていることまでなかなか手が回らない毎日ですが、ゆるゆると、やれる範囲のことをたのしみながらつづけていきたいと思っていますので、◯被さまにあられましても、そのような調子でおつきあいいただければ。
はやし 2008/03/18(Tue)05:15:00 編集
はてなでブックマークした者です。
少し前から、読ませていただいてます。
自分は、数学を学んでいて、集合論など、基礎論に興味があるので、とても勉強になってます。

前のエントリは、自慢話だとは感じることは全くなくて、いろんな本を読んでいこう、という意欲を頂きました。
少しずつ読み進めようと思います。
これからもブログ楽しみにしてます。
shota 2008/03/18(Tue)10:20:00 編集
どうも、こんにちは。

shotaさんのブックマークをあのようなかたちで取りあげるのはじゃっかん失礼にあたるかな、とも思ったのですが、あらためて自分の記事を読みかえしてみて、「自慢話」と受けとられる危険はじゅうぶんにあるな、と感じましたもので、失礼をもかえりみず、あえて贅言を費やした次第です(ただ、と急いで付け加えると、shotaさんがぼくの記事を「自慢話」として受けとっておられるとは、露も思いませんでした)。

ともあれ、ぼくの記事が機縁になり、何かしらのたのしみをここを読んでくれているかたがたに提供できれば、ほんとうにうれしいことです。これからも、「自分がおもろいと思うこと」を基本に、いろいろと無責任に書きつづっていきますので、また何かしらshotaさんの感性にふれるものがあれば、と思います。
はやし 2008/03/18(Tue)11:00:00 編集
補足、というか註記なのですが、先のshotaさんへのレスでの「とは、露も思いませんでした」の部分は、「お前がそんなやつだとは思わなかったよ」という例におけるような、「ある過去の時点ではそう思ってはいなかったが、いまはそう思っている」という用法ではなく、「ある過去の時点でも思っていなかったし、そして、いまも思っていない」という、言うなれば現在完了状態継続としての用法です。やりとりの推移や文脈などから、読み誤るおそれはほとんどないとは思いますが、いちおう。
はやし 2008/03/18(Tue)12:55:00 編集
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