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キリスト教がときに「パウロ教」と(揶揄的に?)言われるように、イエスを別格としたら、キリスト教に関わる人物のなかでパウロはその重要度的にかなりの上位にくるにちがいない。何と言っても、いまある「世界宗教」としてのキリスト教は、彼がいなかったら存在しなかったかもしれないのだから。そんなわけで、このパウロという人物に興味が湧いてきた。
言うまでもなく、彼じしんの書きものが「新約」と呼ばれる聖書中にいくつか収められており(そして、その書きものは新約聖書中唯一その著者が同定されている部分であり、さらにそのうちのひとつ「テサロニケ人への手紙その1」は、新約聖書中もっとも古い成立の書きものとされている)、その考えを知ることはまったく容易なことである。しかし、「考え」の面での重要さもさることながら、その生涯に約4回も地中海を行ったり来たりして行なった布教活動こそが、「パウロ」という名前を特別なものにしているように思う。だが、そうした「行動」に関して、あまりにもおれは無知である。だから、何冊か関連資料を借りてきて、ざっと眺めてみた。
そうした資料中、パウロの布教の「成功の鍵」にふれているような部分を拾い読んでみると、たとえば、パウロがその布教の拠点としたアンティオキアが当時ローマにつぐ主要都市であったので、結果としてそこから全世界に「キリスト教」が広まっていたのだ(この論点はKelsoに拠る。文献については、この記事末尾の参考文献を参照)、とか、当時は宗教に関わる事柄についても議論・弁論が活発で、そうした風土のなかパウロの弁論が受けたのだ(この論点はSandersに拠る)、とか、あるいは、パウロは本質的に「政治家」であり、表面的には宥和政策を採りながら、相手の懐に入りこみ、そしてまんまと「乗っとり」をやりおおせたのだ(この論点はBadiouに拠る)、とか、いろいろと言われてはいる。言われてはいるが、しかし、そのいずれも、何か足りない、という感じがしてしまう(もっとも、いずれの文献もまだちゃんと読んではいないので、これから「そうか! そういうことか!」となる点が見出されないともかぎらないのだけど)。
ともあれ、そうした「パウロ布教成功の鍵」のようなものが明らかになったあかつきには、『パウロに学ぶ営業術』のような本を書いて一山当てたいと思う(え?)。
参考文献
Badiou, Alain. Saint Paul. PUF, 1997.(仏語版を日本においてきてしまったので、ここでは英訳を参照。邦訳あり、だが……)
Kelso, James L. An Archeologist Follows the Apostle Paul. Word Books, 1970.
Sanders, E.P. Paul. Oxford, 2001.
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