いやはや [留学]

倫理学ゼミのためにミルの『功利主義』を読んだのですが、これが読みにくいのなんのって。

まず、内容的なところ以前に、ミルの書きっぷりがまずもって読みにくい（あえて日本語の書き手を持ち出すと、たとえばこの御仁、と言えば、そのunreadabilityがすこし分かってもらえるでしょうか）。これはおれの英語力の至らなさかな、と思っていたら、ネイティヴの人たちも「すげえ読みにくい」とこぼしていたので、たぶんミル（というか、やや時代がへだたった英語）固有のものなのでしょう。

つぎに、内容的に言っても、たとえば「〜だから…である」という「因」と「果」の結びつきが、一読して諒解できるものではなく、この手の文章の初等的読解テク（背理法を適用したり、対偶を取ったりする）を用いて悪戦苦闘してたんですが、それでもよく分からないところが続出。これについても、やはり「時代感覚」というもののズレがでかいようで、ある程度「〜だから…なんだね、うんうん」と、ある種の「公理」として受けとる潔さも必要なようです。

次回は、ロールズの「古典的功利主義」とレイルトンの「疎外、結果主義、そして道徳の要請」という現代のテクストを読む予定なので、如上のような困難はないかな、と少し安心してますが、昔のものとはちがう、現代のテクストに固有な困難があるにちがいなく、あまり気は抜けません。