とりたててどうということもない買い本記 [本]

「とりたててどうということもない」などと言うと、買った本たちに失礼な気もしますが、この「とりたててどうということもない」という形容辞は「記」のほう、つまり、「本を買う」といういとなみをこのように書き連ねる意義ははたしてありやなしやという疑念があったりなかったり云々。

• 松岡正剛, ちょっと本気な千夜千冊虎の巻, 求龍堂
  毎度おなじみ千夜千冊をダシに、「ただの多少の本好き」相手に語られるセイゴオ流読書術、といったところか。もっとも、その内容は「読書術」に尽きるものではなく、千夜千冊で取りあげられた本・著者が、また別の視角から取りあげられていたりもするので、そういう部分でもたのしめる。欲を言えば、この本でのような「ウブ」なインタヴュワーではなく、もうちょっと「手練」な人とぶつけたものも読みたい。
  
  
• 溝口理一郎, オントロジー工学, オーム社
  前々から気になっていたオントロジーもの。ここら辺の知識工学周辺の話題はなかなかにホットなのに、日本ではあまり知られておらず、もったいない。メレオロジーなんかとからめて考えたりすると、おもしろそうなのに。さいきん、これの実践編のようなものも出たが、これはちょっとタルそうだたのでパス。
  
  
• 橘木俊詔他（編）, リスク学入門 1, 岩波書店
  本屋でパラ見したら、なかなかに便利そうだし、なにより安かったので。そういや、『リスク学事典』なんてのも持ってるけど、読んでないなあ。
  
  
• ドストエフスキー, カラマーゾフの兄弟, 光文社
  亀山版カラマーゾフが完結したので、大人買い。ドスちゃんは、ほんと語りが巧みだなあ。
  
  
• 小池和夫, 異体字の世界, 河出書房新社
  漢字マニアとしては買い、ですな。文庫で読めるたのしい漢字本としては、ほかに『遊字典』というのもある（品切れだが古書価も安いし、手に入れて損はない本）。
  
  
• ペトラルカ, わが秘密, 岩波書店
  なんの気もなしにふと手にとって読んでみたら、存外におもしろかったので。アウグスティヌスのとの架空の対話という形式を採っているが、読んでいると、長椅子の上での精神分析医とのやりとりに思えてくる。
  
  
• アルフレッド・ベスター, ゴーレム100, 国書刊行会
  ついに買いました。やまがっつぁんの、いつもながらに意地の悪い、でも本質的には愚直な啓蒙愛にあふれた解説もついています。しかし、いまさらながら国書刊行会のこの「未来の文学」シリーズはすごいですなあ。

あと、雨のなか3軒ほど本屋をまわるも、岩波思想ブランショ特集号はなし。すでに売れてしまったのか、そもそも入荷していないのか、それともまだ出ていないのか、よく分からないが、こうなったら岩波ブックセンターまで行かなければならないのだろうか？　やや気が重い。