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きのう買った『ちょっと本気な千夜千冊虎の巻』を読んでいたら、セイゴオ流読書術をてぎわよくまとめている章にぶちあたって、そこには、「自分のコンディションに合わせて本を読む」A型読書や、「外側の環境に合わせて本を読む」B型読書のほか、C型読書として、前からおれも実践していた「目次読書法」や「要約読書法」、そして、今回ちょっと練習してみようと、人生何度目だか分からないが思った「マーキング読書法」が紹介されていた。
おれは、けっして「愛書家」ではない。でも、なぜだか本に筆記具でなにごとかを書込むのを躊躇してしまうし、よしんばそうしたハードルを越えたにしても、根がそうとうなめんどくさがりなので、すぐに書込むのをやめてしまう。だが、ある1冊の本を読み終わり、後日、「あれはどこに書いてあったけな」とその本をひっくり返すとき、「ああ、マーキングしておけばよかったなあ」と思うことが多いのも、また事実なのだ。だから、如上のような「2つの困難」を乗りこえて、ぜひともマーキング読書法を実践したい。そう思って、現在読書会で読んでいる『社会システム理論』を練習対象として選んだ。
そうなると、まず考えてしまうのが「いかにマーキングするか」という「方法」の部分で、でも、あくまで目的は「マーキングする」ことにではなく「本を読む」ことにあるのだから、あまり大仰で、その設定についてしばらく思いを馳せなければ遂行できないようなおおがかりなものではなく、「『おお』と思ったところは直線、分からないところは波線、かならずしも『おお』とは思わなかったけど著者的には重要なポイントなんだろうなというところには2重線(『おお』と思ったところと重なる場合は、その2重線の右肩に星印やマルでもつけておく)を引く」というかんたんなものを設定した。
だが、ここで問題が生じたのだ。『社会システム理論』はあまりにも分からないところが多すぎて、紙面がなみなみだらけになってしまう。それはあまりうつくしい光景でもないし、なにより、引くのにそれなりに手間のかかるなみなみをたくさん書かねばならぬのは、あまりありがたい話でもない。それに、ほかのポイントがなみなみに埋もれて目立たなくなってしまいもする。また、こうもなみなみが多いと、その「分からなさ」の指標の粒度を上げようと、つまり、「どうして分からないのか」という「分からなさの種別」を区分けし、それに応じたマーキングを施したくなってくる。
こうして、修行はつづく。
で、ふと思ったのですが、論理学では人工言語を使いますよね。あれをもってして、ルーマンのあの悪書たる『社会システム理論』の自然言語(でもない気もするが)をコンバートできないものでしょうかね。
ルーマンの自然言語を論理学の人工言語にした人はおそらく未だ誰もやってないと思われますので、かなりおもろいかもしれない。はやしさん、やりたくなってきたんじゃないですか。一度チャレンジしてみてはどうでしょう。私は力量と忍耐力がないから無理です。
ただ、これはひでさんも指摘するように、言うは易しであって、じっさいに遂行しようとなるとかなりの難事業であることは容易に推測される。それを思うと、じっさいに手を出すのはどうかな、と思ってしまいます。
ちなみに、「論理学は形式しか扱えない」というのは、たぶん誤解の一種で、たしかにぼくは論理学をして「没内容」と称しましたが、そこで言わんとしたことは、「内容を扱えない」ということではなく、「内容に関わらない」ということで、言ってみれば形式と意味とは、ここでは一対多の関係にあるのです。
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