忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

抽象的な夢をたまに見る。昨日見たのは付値函数の夢だった。べつに、夢のなかで付値函数についてしゃべっていたというわけではない。夢全体が、なんとなく、付値函数だった。
PR
ぼくはあまり夢を見ないわりに夢のなかで行きつけの本屋(もちろん、それらの本屋は現実には存在しない)が三件くらいあったりするので「病膏肓に入る」といった感じがする。
その呼称にまだ「帝国」の二文字が冠されていたころ、東京大学の学生はピカールで、京都大学の学生はグルサで解析の勉強をしていたという。そういう、解析を学ぶさいにピカールを選ぶかグルサを選ぶかという選択は、東京大学と京都大学というそれぞれの大学の数学教室の雰囲気を何となくではあれ表しているように思われる。(たとえば、森毅は、東大の学生だったにもかかわらず、おもにグルサを読み、そしてピカールの問題を解いていたというが、これはひじょうに示唆的なエピソードではないか)

ところで、日本において解析の教科書というと、まっさきに高木貞治の『解析概論』が思い浮かぶが、その『解析概論』について岡潔は「代数感覚がつよすぎる」という批判をなしたという。そうした岡の批判が妥当だとすれば(ぼくには妥当なように思える)、『解析概論』に見られる「代数感覚のつよさ」は、代数学者としての高木の特質が思わず出てしまった結果なのか、あるいは、解析を学ぶさいにピカールを選び取った東大数学教室の「風土」のようなものが作用していたのか、そういうことも気になる。

ともあれ、ピカール、そしてグルサの教科書が、東京大学、あるいは京都大学の数学教室の雰囲気の形成に何らかの影響を及ぼしたのか、あるいは、そうした教科書の選択をするような数学教室の風土が、高木の『解析概論』に何らかの影を落としているのか、そういうことはまったく斟酌せずとも、ピカールとグルサという、解析が解析として確立してまもなくの熱気あふれる時期に書かれた教科書と、そして日本を代表する解析の教科書である『解析概論』を比較対照しながら読むというのは、このうえない愉悦であるだろう。

いつか、ピカール、グルサ、そして高木の解析の教科書を、ゆっくり、時間をかけて、ていねいに読みくらべられる日が来たらなあ、と思っている。
HOME
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
最新トラックバック
メール
ブログ作成者(はやし)に直接訴えたいことがある、という場合は、下のアドレスにメールをどうぞ。

thayashi#ucalgary.ca
(#を@に置換してください)

ブログ内検索
Google
WWW を検索 このブログ内を検索

はやしのブログ内で紹介された
 書籍の検索はこちら
 音盤の検索はこちら
ランダムおすすめ
(忍者ブログに引越してから、うまくうごかなくなってしまいました。いつか、直します)
Randombook
このブログで紹介したことのある本をランダム表示。
Randomusic
このブログで紹介したことのある音をランダム表示。
自分がらみのリンク
はやしのブログ書籍一覧
このブログで言及された書籍の一覧。
はやしのブログ音盤一覧
このブログで言及された音盤の一覧。
最近のおすすめ本
最近のおすすめ音

Copyright © [ はやしのブログ ]
No right reserved except those which belong to someone else.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]