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前回は「批判検討編」の前編として、ゲーデルの神の存在証明に見られる概念的側面の問題点を検討した。今回は、その方法論的側面を、とくに第3回で設定された公理3を中心に検討する。

ただ、と最初から「言い訳モード」全開で言ってしまえば、前回に予告したように「ややテクニカル」な検討というのは、諸般の事情から見送らざるをえなかった。その事情の一端は、もちろん個人的な忙しさということもでかいのだが、何より、述べられる結果のテクニカルな側面を、それほどの前提知識を仮定せずに述べなおすというのは、思ったよりも難事業であったということにある。そうしたこの稿に見られる欠は、今後また同様の機会があればあたうかぎり補填していきたい。

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番外編をはさんで前々回まででゲーデルによる神の存在証明を概観した(エントリの一覧はこちらを参照のこと)。今回は「批判検討編 I」と称して、ゲーデルの証明に見られる問題点のうち、その「概念的側面」に関わる部分を批判的に検討する。

前回までに、ゲーデルの神の存在証明について、だいたいその4分の3程度を見てきた。証明の全体構成をいま一度確認しておくと、まず「神が存在することはありうる」こと、および「神が存在することがありうれば、その存在は必然的である」ことを示し、ゆえに「神は必然的に存在する」ことを示そうとするのだった。この稿では、証明の後半部分、つまり「神が存在することがありうれば、その存在は必然的である」ことを示し、証明を終わらせる。

前回ではゲーデルの「神の存在証明」の全体構成のうち前半部分、つまり「神の存在は可能である」という部分まで証明した。この稿では証明の後半部分、つまり「神が存在することがありうれば、それは必然的に存在する」の証明のうち、その前半部分を追っかけよう。

前回はゲーデルの「神の存在証明」のうち、証明の前提となる2つの公理(「ある性質、もしくはその性質の補のどちらか1つのみが、実在的である」「ある実在的性質に必然的に伴う性質もまた実在的である」)と、それら2つの公理から導かれる命題(「ある性質P が実在的であれば、その性質P を持つ何かが存在しうる」)までを見たのだった。この稿では、最初に訳語についてのかんたんな注釈をしたのち、ゲーデルの証明を構成する最初の山である「神が存在することはありうる」という定理までを見てみよう。

前回、ゲーデルの「神の存在証明」はライプニッツの衣鉢を継ぎ、「神が存在することはありうる」ということ、および「神が存在することがありうれば、その存在は必然的である」ということの2ステップを踏むことを予告した。この稿ではまず「そも、証明とはなんぞや?」ということをかんたんに確認し、しかるのちゲーデルの証明(の「口語」ヴァージョン)の前半部分の前半部分、つまり証明全体の4分の1のところまでを見ることにしよう。

ゲーデルが晩年「神の存在証明」に執心だったということは、日本の一般読者層にもこの本などによってつとに知られていることであろう。しかし、ゲーデルがその証明をどのように遂行したかは、あまり知られていないように思える。ゆえに、先日メルヴィン・フィッティングのTypes, Tableaus, and Gödel's God でゲーデルの存在証明(の概略)を読んであらためて感銘を受けたこともあり、そのフィッティングの議論におおむね則りながら、その証明のラフスケッチをここで試みてみよう。

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