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微妙な本だ。
まず、ここで言われている「ハッカー」という言葉の使い方が、微妙だ。ここでは、いわゆる「クラッカー」と呼ばれる、他人のコンピュータシステムに不法侵入し、そこを引っ掻き回すやつ、という語義が前面に出ている。もちろん、「ハッカー」という言葉にはそういうクラッカー的な要素は全くない、とは言わない。クラッキングにも十二分に、ハッカー的なものがある(ハッカー原理主義的な見方にもおれは与しない)。そして、この本でもコラムで「ハッカー=クラッカー?」問題にも触れられてはいる。ただ、やはり、あまりにも、真っ当な意味での「ハッカー」な側面が捨象されすぎなのではないか。
つぎに、選ばれてる本の数が「103」というのが、微妙だ。これは、この本を購入して家でゆっくり読んで気づいたのだが、どうも「103選」というのは、「103冊の本を選んだ」ということではないらしい。では、どういうことなのか、というと、何人かの選者が選んだ本の合計が「103冊」ということで、異なる選者が同じ本を重複して選んでいる場合もあり、ということなのだ。だから、実は、実際に紹介されている本は97冊である。
それでは、中味はどんなものか? 以前も言ったとおり、こういう本は基本的に「お遊び」として捉えるべきであり、「この本が入ってない!」とか「なーんでこんな本選ぶよ!」といった突っ込みをしながら楽しむのが正しい読み方であり、いちいちのセレクトに対してあーだこーだ言うのは野暮も極まりない。だから、それぞれのセレクションに関して言うことはあまりないが、一応章立てを列挙すると、プログラミング、ネットワーク、ハードウェア、ハッキング・セキュリティ、コンピュータサイエンス、OS、その他、っつー感じで、これも「ま、こんなもんかな」である。ただ、やはり、一番厚い(熱い?)部分は当然ハッキング・セキュリティの章であり、逆に、手薄い、というか、「これはちょっとな」なのがコンピュータサイエンスの章である、ということだけは言っておこう。また、意図的に避けたことなのかもしれないが、全体として、純理的な書物が少なすぎる。
というわけで、「こりゃ絶対買いだよ、買い。おすすめ!」というふうではないけど、「かなりクラッキングがかったハッキング」というものに興味があるなら読んで損はないし、また、そうでなくとも、普通に「コンピュータ関連推薦図書リスト」としてもそれなり(あくまで、本当に「それなり」)に楽しめる。ただ、それほど期待するような本ではなかった。
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