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今日は学校に行かなくてもよい日だったのだけど、気になる本があったのでわざわざ(つっても学校は、家からすぐのバス停から10分くらいなんですが)学校行って借りてきた。


 Real Freedom for All: What (If Anything) Can Justify Capitalism? (Oxford Politician Theory)
Philippe Van Parijs
(Oxford Univ Pr on Demand, 1998)

ベーシック・インカム理論派の雄、パリースの現時点での主著、かな。ベーシック・インカムについての理論語りは、他の本だとけっこう経済よりな風味で、たとえば、「財源確保はこうして、んでもって、それをこういうふうに分配すれば」みたいな感じだったりするんだけど、この本はそういう話はいっさいなし。ベーシック・インカムという制度がなぜ必要で、そして、それが導入されたあかつきにはどういうことになるかが語られている。各章のはじめに導入部として「ΔとΦの対談」(そして、これらΔとΦが何を指すかについてパリースは、「Δ=民衆 (demos)、Φ=哲学者 (philosopher)」とも「Δ=デイヴィド、Φ=フィリップ」とも言って、にごしている)がおかれているのだけど、これだけでも拾い読みするとよいのでは、と思う。翻訳あり。


 The Machinery of Freedom: Guide to a Radical Capitalism
David D. Friedman
(Open Court Pub Co, 1989)

「国家なんて要らん、資本主義がまとめて面倒見てくれる!」という、過激なような、でもよく考えるとそれほどでもないような主張をする、アナルコ=キャピタリズムのマニフェスト。短い章のつらなりに構成されているので、(翻訳さえちゃんとしていれば)読みやすいのではないか、と思う。ちなみに、言うまでもないことだろうけど、デイヴィドはミルトンの子ども。翻訳あり。


もう、これは、何の説明も要らないでしょう。「説明が要る」という人は、自らの不明を恥じてください。翻訳は、とうぜんあり。


 The Unpolitical: On the Radical Critique of Political Reason
Massimo Cacciari
(Fordham Univ Pr, 2009)

ツイッタのTL上でその名前を目にし、「そういや、一時期ちゃんと読もうと思って、イタリア書房で原書買ったりしたなあ」となつかしくなり、英訳としては最新刊っぽいこれを。しょうじき、政治(的なること)を「哲学的」に語るというのはもはやじり貧だと思うのだけど、まあ、それは措いておいて。カッチャーリの翻訳は、『必要なる天使』しか、いまのところない。


 Alain Badiou: Live Theory
Oliver Feltham
(Continuum Intl Pub Group (Sd), 2008)
 Briefings on Existence: A Short Treatise on Transitory Ontology (Suny Series, Intersections: Politics and Critical Theory)
Alain Badiou
(State Univ of New York Pr, 2006)
 Alain Badiou: Philosophy And Its Conditions (Suny Series, Intersections: Philosophy and Critical Theory)

(State Univ of New York Pr, 2005)
 Handbook Of Inaesthetic (Meridian (Stanford, Calif.).)
Alain Badiou
(Stanford Univ Pr, 2004)

ふと、バディウのことを思い出したので、最近の動向を知るために、借りてきた(最後のは、あんまり「最近の動向」云々とは関係ないかも)。2冊目に挙げた Briefings on Existence によると、何でもちかごろは圏論にも手を出しているそうで……。ぜんぜん関係ないけど、もし彼の L'être et l'événement を肯定的に参照している人がいたら徹底抗戦しようとググってみたんだけど、そういう人は見つからず(って、たいして調べてもいないんですが)、ほっとするやらざんねんやら。

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突然に失礼いたしますが、ドイツ語で書かれた哲学の入門あるいは概説的な本をご存じでしたら教えていただけませんか。
sss 2009/10/24(Sat)17:07:08 編集
ドイツ語で、ですか? それを答えるには、ぼくはあきらかに不適任なような気がしますが、いちおう入手の容易さをメインに考えると、レクラムから出ている Philosophie: Ein Lehrbuch をざっと流したあと、気になる時代もしくはジャンルについて、同じレクラムから出ている Grundkurs Philosophie の該当巻をあたるのがよいのでは、と思います。それ以外にも、哲学の入門書あるいは概説書はドイツ語でたくさん出ていますので、もしできるなら、じっさいに手に取ってぱらぱら流し読みしてみて、自分に合ったものを読むのがいちばんいいと思います。いちおう、ご参考まで。
はやし 2009/10/24(Sat)17:24:13 編集
流石、よくご存じで感服いたします。ドイツ語で書かれたものだと、実際に目にする機会もあまりなく、あったとしても自力のみではその優劣が見分けられませんので(もっともそれは日本語のものでも同じですが)、優秀博識の方に教えていただき、非常に有り難く思います。
sss 2009/10/24(Sat)20:20:44 編集
いや、ほんとうに、ドイツ語の文献に関しては「ほとんど知らない」と言ってもいいくらいなので、参考程度にとどめておいてください。(そして、これは何語で書かれた、何についての入門書/概説書にも言えることですが、そういう入門書/概説書というのは、おうおうにして扱われていることがらは似通ったものとなりがちで、結果、そのプレゼンテーションの仕方が読むべきか否かの決め手となるのですが、この「プレゼンテーションの仕方」に関しては、けっこう読み手との相性ということが多分に作用しますので、できればじっさいに該当書籍を手に取って検分することをおすすめします)
はやし 2009/10/25(Sun)18:59:16 編集
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