見てくれ社会 [『スペクタクルの社会』を読む]

テストの採点も終わり、何かちょっと息抜きを、と思い、現在やや滞ってしまっているラッセル『数学の原理』の翻訳を進めようかとも思ったのだけど、それはちと、これからやらねばならぬことに近すぎる内容でもあり、あまり「息抜き」としては適当ではないな、ということで、こいつを。

15

スペクタクルは、現在生産されているものの欠くべからざる装飾として、システムの合理性を一般的に表すものとして、また、「イメージ＝もの」が切り結んだ集合体をちょくせつに作りあげる先鋭的経済セクターとして、現実社会の主要生産物である。

ひさかたに読むと、何や分かるような分からんような……。

ただまあ、ふたつめの「システムの合理性を一般的に表すもの」ということをべつにすれば、スペクタクルが持つとされる（そして、それがゆえに現代社会の「主要生産物」であると見なされるところの）ひとつめとみっつめの特性については、いわゆる「広告社会」というか、ある商品がまったく同じでも、「売り方」によってその売れ行き、つまりは「見なし価値」に有意な差が出てきてしまう、われわれにも親しい状況を考えれば、「そういうもんかな」とも。

「システムの合理性を一般的に表すもの」については……これはちょっと、ちゃんと考えなきゃ分からんですね（それについて、ごくらんぼうな考えだったらあるけど、あえて言わない、というか、言うほどのものでもない）。