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あれは、アメリカに行って間もないころ、夏の暑い日のことだった。スーパーに買い出しに行こうとバスに乗ると、ちょうど運転手さんが交代すると見えて、新しい運転手さんがラジカセを抱えてバスに乗りこんできた。そして、ラジカセの再生ボタンがおもむろに押され、ゆっくりとバスが走り出したときに聞こえてきたのは、ニール・ヤングの "Heart of Gold" だった。刺すような陽の光と、人もまばらなバスの車内と、窓から見える広大な風景と、ニール・ヤングの歌ごえ。開け放たれたバスの窓から吹いてくる風が、とてもきもちよかった。
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音楽を聴いてある特定の場所が思い出されるということは、ぼくにはあまりない(ただ、「それを聴いていたあのころ」というかたちで「時代」が思い出されることは、それなりにある)。それでも、そのようにある特定の場所が思い出される音楽がぼくにもまったくないわけではなく、Xiu Xiu の Air Force、Damien Rice の 9、そして Mahogany の Connectivity! を聴くと、アメリカに行ったばかりのころ住んでいた大学の学生寮を思い出す。
これらのアルバムをぼくは、寮にじゅうまんする喧騒をさえぎるように、ほとんど毎日、うす暗い部屋でひとり聴いていた。だから、これらのアルバムを聴くと、ぼくが住んでいた寮の部屋の様子や、あるいは学校のそこかしこの風景がフラッシュバックしてなつかしく思うと同時に、うら若い学生たちがかもす浮ついた雰囲気も想起され、すこしざわついた気持ちになったりもする。
これらのアルバムをぼくは、寮にじゅうまんする喧騒をさえぎるように、ほとんど毎日、うす暗い部屋でひとり聴いていた。だから、これらのアルバムを聴くと、ぼくが住んでいた寮の部屋の様子や、あるいは学校のそこかしこの風景がフラッシュバックしてなつかしく思うと同時に、うら若い学生たちがかもす浮ついた雰囲気も想起され、すこしざわついた気持ちになったりもする。
ぼくの Sublime Text には常時タブが10個ぐらい開いてあって、そこに聴いた音楽の感想やら気になる本の情報やらをけっこうまめに書きこんでいる。そして、そういう「けっこうまめに書きこんでいる」ことのひとつに、このブログに書こうと思っっていることのメモもある。そのメモに書きこまれた「ブログに書こうと思っていること」は、タイトルだけのものから、タイトルに一行説明がそえられたもの、そして「ほとんど完成」といったものまで精粗にばらつきがあるのだけど、いまそのメモを見かえしてみたら「ほとんど完成」というものが思いのほか多く、おどろいた。
そういう、「ほとんど完成」というものは、折を見て完成まで持っていけばいいようなものだけど、それら「ほとんど完成」というものが「ほとんど完成」という状態のまま放置されていることにはおそらく共通の理由があって、つまり、書いているうちに「こんなの誰の得にもならないし、それに、よしんば書き上げたところで、読んでくれた人も反応に困るものでしかない」という思いがふつふつとわきあがってきて、それで書くのやめてしまうからだと思う(もっとも、ぼくはぼくの文章を読んでくれる人にいかなる反応も期待していないし、そもそも、読んでくれる人がいることすら想定していないのだけど)。
だから、ぼくの Sublime Text のブログネタのタブは、そういう「ほとんど完成」してはいるけれど時熟などはとうてい期待できないようなただ朽ち果てるのを待っているだけの文章の墓場といった様相を呈している。ただ、ぼくはとってももったいながりなので、それら「こんなの誰の得にもならないし、それに、読んでくれた人も反応に困るものでしかない」という書きものであっても、万がひとつにもおもしろがってくれる人がいるかもしれないし、それに、おなじ朽ち果てるなら公共の場にさらされてからのほうが文章も報われるのではないかという気もするので、ちょっとづつ蔵出ししていこうかなと思っている。
そういう、「ほとんど完成」というものは、折を見て完成まで持っていけばいいようなものだけど、それら「ほとんど完成」というものが「ほとんど完成」という状態のまま放置されていることにはおそらく共通の理由があって、つまり、書いているうちに「こんなの誰の得にもならないし、それに、よしんば書き上げたところで、読んでくれた人も反応に困るものでしかない」という思いがふつふつとわきあがってきて、それで書くのやめてしまうからだと思う(もっとも、ぼくはぼくの文章を読んでくれる人にいかなる反応も期待していないし、そもそも、読んでくれる人がいることすら想定していないのだけど)。
だから、ぼくの Sublime Text のブログネタのタブは、そういう「ほとんど完成」してはいるけれど時熟などはとうてい期待できないようなただ朽ち果てるのを待っているだけの文章の墓場といった様相を呈している。ただ、ぼくはとってももったいながりなので、それら「こんなの誰の得にもならないし、それに、読んでくれた人も反応に困るものでしかない」という書きものであっても、万がひとつにもおもしろがってくれる人がいるかもしれないし、それに、おなじ朽ち果てるなら公共の場にさらされてからのほうが文章も報われるのではないかという気もするので、ちょっとづつ蔵出ししていこうかなと思っている。
基本的に、わからないことはわかるようになったほうがいい。それはそうだ。ただ、ネットを逍遥していて、自分の興味関心からおおきくはずれていることはあきらかだけど世間ではどうやら話題らしいということに出くわしたとき、「これ、なんだろ?」とその場で調べてしまうより、「これ、なんだろ?」という状態を保持したまま、それについていろいろと妄想をひろげていったほうが、調べて「なあんだ」となるよりもたのしい、ような気がする。(最近では、「ゴースン」みたいな響きの言葉を目にすることが多く、「ほぶらきんの新曲かな?」といっしゅん思ったのだけど、そんなわけはないであろうので放置している)
こう書くとなんだか「しょんぼり」といった印象をあたえてしまうかもしれないけど、ぼくは夏があまり好きではなく(端的に「きらい」と言ってもよい)冬はそこそこ好きなので、このような「長い冬と短い夏」というサイクルはわるくないな、と思うのです。
それはたぶん、ぼくが腕時計というものを生まれてこのかた一度も身につけたことがないから。
岡潔は Behnke-Thullen の Theorie der Funktionen mehrerer komplexer Veränderlicher を本の角が擦り切れて丸みを帯びほとんど原型をとどめなくなるほどに読みこんでいたそうだけど、死ぬまでに一冊はそういう本にめぐりあいたいものだ、と思う。
ちなみに、ぼくが見たなかでいちばん岡潔の Behnke-Thullen に近い読みこまれ方をした本というのは、大学時代の友だちが読んでいた『差異と反復』(エピメテ版)で、岡潔の Behnke-Thullen と同様、角が擦れてやや丸みを帯び、そして本の嵩がほとんど倍近くに膨れあがっていた。
ちなみに、ぼくが見たなかでいちばん岡潔の Behnke-Thullen に近い読みこまれ方をした本というのは、大学時代の友だちが読んでいた『差異と反復』(エピメテ版)で、岡潔の Behnke-Thullen と同様、角が擦れてやや丸みを帯び、そして本の嵩がほとんど倍近くに膨れあがっていた。
先日、子守りをしながら子どものよこで本を読んでいると、どうやら本が気になるらしく、しきりに手を伸ばしてきた。そこで、あまり紙が薄くなく(あまり紙が薄いと手を切ってしまうおそれがあるため)、判型と厚さが手頃なものを物色すると、ブランショ『明かしえぬ共同体』(ミニュイ版)がちょうどよさそうだったのでそれを与えたところ、いっちょまえに読んでいるような素振りを見せ、あまつさえページを繰るような動作までしたのでおかしかった。
昨日書いた「数学書の読み方」を読み返して、あらためて「おれってほんと当たり前のことしか言わないなあ」と思った。これを読んでくれた人たちも「何だってこいつはこんな当たり前のことをくだくだしく語ってんだ?」と思ったことだろう。ただ、当たり前のことというのは当たり前のことであるがゆえに、それをいい加減に受け流してしまうことも多い。だから、当たり前のことを当たり前のこととしてきちんと当たり前にするように、これからも当たり前のことをどんどん書いていこうと思う。
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