からっぽの時間 [ライフハック]

禁煙をすすめる記事でよく「煙草を吸うというのは時間をむだにしているのにほかならず、ゆえに、煙草をやめるとそのぶんこれこれの時間をもっと有効に使うことができる」ということが言われる。それはそうなのかもしれないけど、ただ、ぼくにとってそういう「むだな時間」というのはぜひとも必要なものだ。

それなりの長時間それなりに集中してあることをしていると、脳が臨界点のようなものに達してしまい、効率がぐっと下がってしまう。そういうときには、むりにでも作業に句点を打って、しかるのち、あらたな気持ちでつぎの文章を書きはじめたほうがいい。そうした目的のために煙草というのは絶好の機会を提供してくれる。

とくに、ぼくがいま住んでいるところは家自体が禁煙なので、煙草を吸うためにはそのたびに外に出なければならない。だから、「煙草を吸いながら作業を続行」ということにもならず、煙草を吸うときはほんとうに煙草を吸うだけだ。つまり、煙草を吸っているときはからっぽの時間が流れることになる。

そして、冬の夜にはマイナス10度をよゆうで下回る酷寒のなか冴えわたる月や、夏の朝には高原のようなちょっと肌寒いさわやかさのなか響きわたる鳥のさえずりが、からっぽな時間を満たしていく。それは、とてもいいものだ。

生きていれば本は増える。 [本]

ふとしたきっかけで、アメリカからここカナダに引っ越してきたばかりのころの本棚写真を見て、「あんまり本は買わないようにしてきたつもりだけど、それでもやっぱり本は増えるものなんだなあ」と思った。これで、本を買い控えていなかったらどういうことになっていたんだろう、と考えると、おそろしい。以下、参考までに、引っ越してきたばかりのころと、最近の、本の様子。

まったくの無駄というわけではないけれど、さりとてそこまで時間をかけるようなものでもない、ということ [悲喜こもごも]

線分三本で三次元空間を表現するにはどういう配置がいちばんいいかを試行錯誤する。

スピーカーとヘッドフォン [音]

スピーカーで聴いて「いいな」と思った音楽はヘッドフォンで聴きかえすとそのよさがつよまることが多いのに、ヘッドフォンで聴いて「いいな」と思ったものはスピーカーで聴きかえすと「あれ？」となることが多い。どちらがほんとうのすがたなのだろう。

すれちがいとその克服 [雑]

ある人（ここで、そのある人を「A さん」と呼ぼう）の信念体系内ではある命題 a が導出不能でも別のある人（ここで、その別のある人を「B さん」と呼ぼう）の体系内ではそれが導出可能かつ B さんが命題 a を主張しているとき、B さんが A さんに「それはおかしい」と言ったら A さんが「でも、お前はその a を主張しているではないか」と言う場合がある。また、A さんの信念体系内ではある命題 b が導出可能でも B さんの体系内ではそれは導出不能なとき、B さんが A さんに「それはおかしい」と言う場合もある。どちらも、自分の信念体系が相手のそれと同一であることを前提にしているけれど、ある人の信念体系がまた別のある人のそれと同一であるとする根拠は一般的にはなく、じっさいのところ、同一であることはあまり多くないように思われる。だから、相手の主張に異を唱える場合（あるいは、自分の主張に異を唱えられた場合）、その主張が拠っている相手の（あるいは、自分の主張に異を唱えられた場合には、自分の）信念体系をまずは吟味したほうがいい。

今日は暑い。 [日々]

以前書いたことのある友だちのところで過ごした夏の昼下がりを思いおこさせる暑さだ。となるとやることはもう決まっている。Nova Bossa を聴きながらビールを飲むのだ。

Congrats, guys. [だいぶいい話]

The images were adopted from this tweet. I don't know exactly who took these but I'd like to thank you for the wonderful pictures.

しずかな生活 [日々]

歩道を引っぺがす工事は終わったようで、外からはもう騒音は聞こえてこない。聞こえてくるのは、鳥のさえずりだけ。少し暑いけど、ときおり窓から吹きこんでくる風がとてもきもちいい。娘は、昼ごはんを食べてやや眠いらしく、父の足もとでごろごろしている。

自己を啓発するために (1)：「自己を啓発する」とはいかなることの謂いか [自己啓発]

「自己を啓発するため自己啓発書を読もうと思っている」という記事を書いた。そのあと、ぼくが「自己を啓発する」ということで何を言わんとしているのかきわめてあやふやであり、さらには世で「自己啓発」という言葉がどのように使われているのかについても茫漠とした雰囲気でしかとらえられていないのではないかと思った。そんな状態ではとても「自己を啓発する」ことなどおぼつかない。そこで、まずは「自己（を）啓発（する）」という言葉の指すところを明確にすることを試みる。

とっちらかった日常 [日々]

外からは歩道をひっぺがす工事の音。室内ではそれに拮抗するように爆音でブラック・ノイズ。そんななか、娘は奇声をあげながらおもちゃ箱をひっくり返し、父はそしらぬ顔でプルーストを読んでいる。