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よく知られるようにオッカムは、ある理論の構築にあたって必要以上の仮定を持ち込むことを嫌い、同じものごとを説明するのに同等の威力を持つ2つの理論があった場合、より少ない仮定で済むほうを選ぶべき、と主張した。そして、このオッカムの原理によって退けられるのは、プラトンのイデア論と相場は決まっている。
プラトンのイデア論は言うまでもなく、個別に存在する事物にのほかに、それらに対応する「イデア」が、天上か(もしくは地下か)どこかにあるとされる「イデア界」に存在し、そうしたイデアをそれら個別の事物は「分有」するがゆえに、たとえば「猫」は「猫」であり、「美しいもの」は「美しいもの」ということになる。そして、このプラトンのイデア論では、個別に存在する事物に加えて「イデア」なるものを想定しているという点で、それら「イデア」を考えない理論に比べて「余計なもの」が多い、と言える。しかし、オッカムのこの論法は、果たしてイデア論に対する有効な反論になっているだろうか?
まず第1点として、プラトン的イデアは決して「余計なもの」ではないと考えられる領域が、たしかにある。たとえば、「数学的対象」というものを考えたとき、それらを「人間の精神によって構築的に作られたもの」と捉えるより、いっそ「数学的対象」からなるイデア界を考えてしまったほうが、理論としてはむしろ「最節約的」であるのみならず(たとえば、数学的対象を「人間の精神によって構築的に作られたもの」とする直観主義では排中律が使用できないがゆえ、結果的に展開される理論は、「数学的対象からなるイデア界」を認め、そして排中律の使用も認める古典論理のそれよりも、むしろ複雑である)、数学的対象を「人間の精神によって構築的に作られたもの」と考えていては到達できない領域があるがゆえに(ワイアーシュトラスの定理が証明できない)、オッカムの立場からもこうした「数学的対象」からなる「イデア界」は認めうる。
さらに、オッカムはたんに、「理論構築の作法」として「余計なものは仮定しない」としているだけで、そのように「余計なもの」として排除されたものが、「イデア界」であれどこであれ、「じっさいに存在しない」と言っているわけではないし、また、オッカムにとっても「余計なもの」ではない何かそれ自体が、プラトン的イデアであってはならないということもない。じじつ、オッカム自身の言葉に立ちかえっても、端的にプラトン的イデアを否定している文言に出会うことはないのだ(「複数のものは、必要なしに仮定されるべきではない」「より少ない仮定で事足りるのに、さらに仮定を設けることは意味のないことである」。Kneale and Kneale, The Development of Logic, p. 243 より)。
だから、もし誰かがプラトン的イデアを否定したい場合、1) そうしたものを仮定すると不具合があること、および、2) そうした仮定なしでも、従来プラトン的イデアを(陰に)仮定していたこと(たとえば数学)も過不足なく展開できること、の2点を示さなければならない。現状、1の側面はともかく、2まで射程に入れて考えると、プラトンの髭を剃り切ることはまだまだむずかしいようだ。
確かに背理法を使っていますね。
定理の内容って、たかだか
「閉区間 a≦X≦b で連続な関数fは この区間のどこかで最大値、最小値をとる」っていう、半ば当たり前みたいな話。
まあ、完全な理解ができていないので、えらそうなことは言えないのですが、これごときを証明するのに、背理法に頼らずには出来ないとは、ほんと、驚きです。
こんなことを聞くなよ、馬鹿 とお叱りを受けそうなのですが、
仮に、排中律を認めないとして、ワイアーシュトラスの定理 を 怪しげなもの とした場合、解析学って、崩壊するのでしょうか。
あるいは、怪しげだけど、一応 公理みたいなものとしてしまって、先に論を進めても、解析学は、矢張り びくともしないのでしょうか。
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