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そんなのは最初から分かっていたことだろう、と言われそうだが、われながらバカなことを始めてしまったものだ、とあらためて思う。おまけに、「(できるだけ)毎日『プリンキピア・マテマティカ』(以後『プリンキピア』と略記する)に目を通すようにする」という、これまたバカなルールまで設定し、あまつさえそれを公言までしているのだから始末に負えない。表向きには何も言わずに、たまに「いや、じつは」みたいな感じでちょぼちょぼと進捗状況を報告するにとどめておけばいよかったものを、そんな公言をしてしまったら、さすがにすぐすぐには「やっぱ忙しいし、やめ!」とは言えないではないか。
というわけで、ほとんど訳の分からぬ意地と、誰に言われたわけでもなく自然発生的に生じた義務より、まだほとんど(というか、実質は「まったく」)読んでいないにもかかわらず、『プリンキピア』について、とりあえず前提知識のようなことと、序文を読んで感じた、まさしく「感想文」を以下に書く。
そもそもこの『プリンキピア・マテマティカPrincipia Mathematica 』は、日本語にすると同じ「数学の原理」というタイトルを持つラッセルのThe Principles of Mathematics の「続編」として計画され、1900年、つまりは19世紀の最後の年に書きはじめられた。書きはじめてすぐ、ラッセルとホワイトヘッドはこれが「続編」というレヴェルで済むような仕事ではないことに気づくことになる。けっきょく、『プリンキピア』の第1巻が刊行されたのは、「続編」を書きはじめてから10年後の1910年であった。
無から有は生じない。それは、学問においてとくにそうである。『プリンキピア』序文に拠ると、この仕事は2つの先駆的な仕事、すなわち、カントールの「集まりの理論」(『プリンキピア』では、現在通常この領域を指して使われる"Set Theory"という呼名は使われておらず、"Theory of Aggregates"と呼ばれる)と、とくに「ペアノ以降」という語句を冠して言われる「記号論理」をその基盤にする、と言われる(ここでフレーゲの名前が出てこないのが、何とも興味深く、そして味わいぶかい)。そして、そのような「集まりの理論」と「記号論理」を用いて「数学の原理」を、もっと大胆には「全数学」を「基礎づけ」てしまおう、というのが、荒っぽく言えば、『プリンキピア』の目的である。
だが、ひとくちに「基礎づけ」と言うが、これは厳密にはどういうことなのか? ちょくせつに「基礎づけとは云々」ということでそう言ってるわけではないが、上記と同じく序文から参考になりそうな文言を引くと、「(自分たちの仕事以前には)公理と見なされていたものを、不必要であるか、もしくは他のより基底的なものから証明可能であることを示す」こと、つまりは、数学というものを極限まで細かいパーツに分解し、そして、そのパーツの「もっともらしさ」を以て、「全数学」の「もっともらしさ」をも証そうとすること、これが、またしてもごく荒っぽく言った場合の、「(数学の)基礎づけ」ということである。
しかしじつは、このような「基礎づけ」、つまりは「分析的」と呼ばれうるのとは別方向のobjectiveも『プリンキピア』は持つことが、同じく序文から読みとれる。つまり、「無限数infinite number」などの、これまではごく不確かな状態で運用されてきた「数学的対象」を「生成」するという「拡張的」な側面も『プリンキピア』は持つ、と主張される。
このような「2面作戦」とも言えるやりかたは、当人たちがそれに意識的かどうかはともあれ、数学者、および(「分析系」という修飾辞をともなって名指されるところの)哲学者がフルに活用しているところのものである。このような「方法論的見地」から『プリンキピア』を読む、というのも、ひとつの読み方かもしれない。
ちなみに、今後はどのようなナンバリングをほどこしていこうか、やや迷っているところです。あまり長々しくなってしまうのもうつくしくないし……(というか、今の時点ですでにして、長々しい)。
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