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われらがアイドルアッキーによれば、「モダンからポストモダンへ」という移りかわりは、「パラノからスキゾへ」というキャッチフレーズで代表されるような出来事です。これは、「音楽」という特定の位相に定位すると、「シリアスからポップへ」とあらわすことができる、とアッキーは言います。
しかしながら、ちょっと考えてみれば容易に分かるとおり、「パラノからスキゾへ」ということと、「シリアスからポップへ」ということとは、じつはイゾモルフな事態ではありません。つまり、「パラノ」というものが単一の価値観への執着することだとするならば、「スキゾ」というのは異なる価値観同士の無秩序な併存以上のことを意味するものではないのであって、しかるに、「シリアスからポップへ」という言い方では、依然そこに「あれかこれか」の志向(嗜好/思考)が残存してしまっているのです。
もちろん、アッキーにきわめて好意的にこの図式を解釈するならば、「シリアス/ポップ」という対概念は「パラノ/スキゾ」というそれと相応的に、前者がある音楽ジャンルへの専一的排他的帰依を意味するのであれば、後者はある特定の音楽ジャンルに固執することなく、たとえばあるときはメンストリームの音楽を聴き、またあるときは世界で知っている人が100人に満たないような音楽を聴く、というような、「あれもこれも」的な音楽聴取の姿勢を指すのでしょう。
ただ、その場合(というのは、音楽における「シリアス/ポップ」という対概念が如上のような構図をあらわす場合、ということですが)でも、あくまで「ジャンル分け」という構造は保持されていることに注意が必要です。つまり、遡及的、そして拡大解釈的に言えば、「スキゾ」というのは「区分けの廃棄」を意味するのではなく、「区分け」を保持したまま、いやそれどころか、そうした「区分け」を発散させたうえで、それら「区分け」内で序列を設けないことが、音楽聴取について言われる「シリアス/ポップ」ということなのだ、と思えるのです。
何かと何かが違う、というのは、ごく当たり前のことです。そして、そうした「違い」は、ポジティヴな意味でにせよネガティヴな意味でにせよ、何らかの「特権性」をあらわすようなものではなく、ただたんに「違う」ということ以外を意味するものではありません。しかしなぜだか、おうおうにして人は、そうした「違い」に序列構造を見出してしまう。
ひるがえって、昨今の音楽事情を鑑みるに、そこでは「ジャンルの細分化」ということが言われたりもしています。そして、音楽にかぎらずとも、何かと何かを区分けする「網の目」がきわめて細かくなり、その結果、それら区分けされた何かたちのあいだに、どういう意味にせよ「序列」を設けることは無意味になっているように思える。
たしかに、何かと何かを区分けたうえで、そうしたマイクロストラクチャ内でそれらの「上下関係」が語られることは、依然としてあるでしょう。しかし、ことをマクロ的に観じた場合、そうした区分けが発散した状況下では、総合的にそれらを序列づけることは、実際的に言って不可能に近い。
だから、とあえて結論めいたことを言えば、もしあなたが何らかの「序列」に虫の好かない思いをいだいているのであれば、「何かと何かは違う」という当たり前のことを認め、そしてそうした「区分け」を廃棄しにかかるのではなく、ぎゃくにいたるところ「区分け」をでっちあげ(……「逃走線」……ligne de fuite!)、そのうえで、そうした「違い」をそのまま寿ぐべきである。つまり、アッキーは大略「ただしい」こと(!)を言っていた、と思われるのです……。
てなことを、アヴリルラヴィーンを聴いたあと、ホワイトハウスの新作を聴きながらふと思ったり。
ただ私の言いたい事は、今日午前1時半の私がとっても眠い中、龍志君にCCBのロマンティックが止まらない(?)を振りつきで聞かされたということです。これはなにかの暗示でしょうか?
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